k-takahashi's blog

個人雑記用

東大のこと、教えます

東大のこと、教えます―総長自ら語る!教育、経営、日本の未来…「課題解決一問一答」

東大のこと、教えます―総長自ら語る!教育、経営、日本の未来…「課題解決一問一答」

 小宮山宏総長が55の質問に答えたもの、

  • 欧米と比べて日本の大学は卒業が楽と言われて悔しいですか? → 欧米と比べる発想自体、私は大嫌い
  • 東大の卒業生が金儲けに走るのは、もったいないと思いますか? → 金儲けも程度を越えれば、魚を獲る楽しさと同じ
  • 40年前と比べて、東大生に美人が多くなったと思いますか? → 昔から美人は多いんだ
  • 漫画ドラゴン桜のように、もともと成績が悪くても受験テクニックで東大に合格できますか? →燃え尽きてさえいなければ、テクニックでもOK
  • 若い世代の理科離れをどう思いますか? → 大人は科学に興味を持っているか
  • 企業から寄付金を引き出す際の口説き文句は何ですか? → 毅然とした姿勢が必要
  • 何歳までなら子供は親の脛をかじってもいいですか? → 22歳
  • もっと給料を貰うべきだと思っていますか? → この激務なら2倍は欲しいところ
  • 今、一番ほしいものは何ですか? → お金以外なら、仲間がほしい (直後に、「毎年、60億円の東大のための戦略資金がほしい」と続く)

などなど。回答部分にも「卒業率は東大も欧米の有名校も大差ない」とか「教授はビジネスクラスに乗るべきだ」とか(勿論、根拠はちゃんとある)面白いエピソードが多数紹介されている。

 違和感を感じる部分、なるほどと思う部分、など色々あるけれど、なにより率直で「私はこう考えている」というのがよく分かる。いわゆる官僚的な答弁とは全く別の方向性で、これは実に良い。


 Thought Leader的なものを目指すのが良いという主張も出てくるし、総長が率直に「自信がある」と言ってくれると、じゃあ私も信じてみるか、という気になれる。最後が、オプティミスト梅田望夫氏との対談なのも、うまいまとめになっている。


 ところで、総長の目指す変革のキーワードは「知の構造化」と「自律分散協調系」だそうだ。その片鱗は、本書全体にばらまかれているが、できればすっきりまとめて欲しかった。いや、東大のアクションプラン(http://www.u-tokyo.ac.jp/gen03/b01_07_j.html)を読み込んで咀嚼すれば良いのだろうけれど、それは結構大変なので。もちろん、梅田氏との対談が末尾にあるのは、ネットが両者を満たす強力なツールだということもあるわけで、そこから類推することは出来る。でも、できれば小宮山総長の言葉で読みたいとも思うのです。