- 作者: 瀬名秀明,梅田聡,橋本敬
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2006/12/15
- メディア: 単行本
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このような「違和」を感じ、そこに何かを見いだそうとする私たちの「知」のあり方を、境界の知、すなわち<境界知>と呼ぼう。違和感をもつこと、それ自身を人間の一つの能力だと捉えてみるのである。
私たちの心は、もともと違和を感じるようにできている。違和感を消し去ることはできないのである。ならば違和感の正体を見極めることで、私たち人間の持つ新しい<知>が見えてくるのではないか。そして違和感を形作る私たちの<知>は、私たちにどのような考えや気持ちや行動を促し、それはまた私たちの社会にどのような意味を投げかけているのか。
3者の共同執筆ということになっているが、実際には瀬名が中心となっているようだ。その瀬名は「特に瀬名は本書をあえて小説家のスタンスで書き通している(p.15)」と書いている。今までの瀬名の問題意識をある程度知っている人なら、彼がこういうスタンスを選ぶこと自体は納得できると思うが、本書を読んで私が一番強く感じた「異和」が瀬名のこのスタンスだったのだから、面白いというかなんと言うか。
ものすごく大ざっぱに言えば、違和感とはヒューリスティックスがうまく動いていないと感じることなので、ヒューリスティックスをどのように獲得するか、どのように使うか、そして、どのように「上手く動いていないかを感じる」のか、というとらえ方をすれば良いのだと思う。
専門外の私に系統立った論考を行うだけの能力はないので、自分が後に思い出すためのよすがにするため断片的なメモを。