k-takahashi's blog

個人雑記用

レックス

 エリック・ガルシアの「さらば愛しき鉤爪」(Anonumous Rex)のテレビドラマ版で、アメリカのSciFiチャンネルが2004年に製作したもの。

 主人公のビンスはしがない私立探偵。ただし、彼の正体は知的に進化した恐竜属。そう、この世界には恐竜属が人に紛れて生活しているのである。恐竜属は人にその存在を知られないよう密かに暮らしているが、一方で秘密をかぎつけた人間は容赦なく始末している。チャイナタウンの一画にある評議会が彼ら全体の意志決定機関でもある。
 ある日、相棒のアーニーの恋人が「弟が殺された」と言って調査を依頼してくる。弟は最近「進歩の声」という異端集団に属していた。


 シリーズ化を意識した伏線が色々と引いてあるのは、アメリカのTV映画のお約束で、相棒アーニーの娘とか評議会の面々とかは割と露骨な設定。昔、TVシリーズ化の話があると聞いていたのだが、残念ながら単発作品で終わったようだ。


 単発作品としては普通の出来ながら、恐竜属の思考の枠組みの一つにある「運の重視」が6500万年前の隕石衝突起源だったり、独特の匂いが識別のベースになっていたり、人間社会に紛れ込むための長い歴史的苦労があったり、など細かい恐竜属の生活がちりばめられているのはSF的に面白い。


 異種族が人間社会の中に紛れ込んでいるという設定は、TRPGの「ワールド・オブ・ダークネス(WoD)」シリーズなんかにも一脈通じるものがある。WoDほどひねくれた設定ではないけれど、細かい描写や混ぜ具合・分離具合(人を関わらせないためのちょっとした仕掛けとか)なんかはマスターの参考になるかもしれない。