- 作者: 大向一輝
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 2007/04/26
- メディア: 新書
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ウェブの歴史、ウェブの仕組み、ウェブの使い方の例(世界遺産についてのレポートを書く、という事例を使っている)、ウェブリテラシーの4つに分けて、分かりやすく説明している。
まず、人間の進化の要因はコミュニケーションと共有であるとし、今のウェブがそのキーワードの上にあること。そのキーワードを具現化する仕組みが、ブログ、SNS、共有知の3つであること。それを旨く使うためには、コミュニケーション(見知らぬ相手、フレーム)、共有(信頼性、チェーンメール、著作権、セキュリティ)のそれぞれに注意が必要であること。そして、自分達は、見つけるスキル、判断するスキル、伝えるスキル、コミュニケーションのスキル、の4つのスキルを鍛えなくてはならないこと、と簡潔にまとめている。
2年ほど前に梅田望夫氏が「充分に知的であるが、ウェブについてよく知らない人に対して、グーグルの凄さを説明せよ」という問題を出したことがある。梅田氏は「ウェブ進化論」でその答えを彼なりに出したわけです。
おそらく大向氏も何か自分なりの理由なり目的なりがあって(あとがきでは、恩返しという言葉を使っているが、たぶんもう少しなにかあるのではないかと思う)、本書を書いたのだろう。上に書いたように、非常にすっきりとまとめてある。なので、あれがないこれがないというのは簡単*1。しかし、ウェブについて説明しようとするとシンプルにまとめることの方が難しいのは経験者ならわかること。このシャープな切り口を聞くためだけにでも、本書は買う価値があると思う。
*1:コマースをほぼスルーしてあるのは、執筆上のポリシーなのだろう。