たとえば、以前、『影武者徳川家康』のパロディで、『影武者鮎川哲也』というのが書けないかと考えてみたことがあった。昭和40年代に本格派の驍将として奮闘していた鮎川哲也が社会派の放った刺客の手にかかって倒れるが「このまま本格の火を絶やしてはならない」と思い、影武者に後を託す。で、「鮎川哲也」の名を受け継いだ影武者は昭和40年代以降さまざまな作品を発表していくのだが……というお話。なんだかたいそう不敬な展開になりそうなので、自主的にボツにした。
富士見ミステリー文庫ついに勝つ - 一本足の蛸
同類のネタで、妻に受けたのが○インサーガのねた。
タイムスリップで、平成元年にタイムスリップした○インサーガファン。彼は最近の堕落っぷりに落胆しながらも、それでも○インを買うのを止められない自分に複雑な感情を抱いていた。「ああ、こんなだらだら続くくらいなら、いっそ30巻あたりで終わっていてくれれば・・」
そんな彼が書店をのぞくと、そこには最新刊である第30巻が平積みされていた。「これだ、こうだったんだ、こうでなければならないんだ」 頬をつたうは、悔し涙か随喜の涙か。そして、彼は決心する。「温帯は昭和と共に去るべきだったのだ!」
で、彼が色々苦労して計画を実行しようとするわけです。中盤あたりで、協力者を捜しているうちに当時の○インファンに遭遇し、口論になるシーンがあります。
「こんな素晴らしいシリーズを止めてしまうなんて正気の沙汰ではない!」
「ならば、これを見てみろ!」 彼は、最新刊の第117巻をつきつけた。
「ん? たしかに○インの117巻と書いてはあるが」 と言ってパラパラめくり、そして、怒りを押し殺したような口調で続けた。「おい、これが○インのわけないだろう。なんだよ、この真っ白なページは。それに文章だって・・」
「それが2007年の現実なんだよ。」
とまあ、計画がうまくいくかどうかはともかくとして、美空ひばりやベルリンの壁、天安門事件あたりをまじえれば、それなりになるかな。(ならないか)