k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームAI

 人工知能学会誌2008年1月号の特集が「ゲームAI」。モデレータは筑波大の星野准一先生。「学会でゲームAIを明示的に取り上げるのは初めての試み」だそうです。できれば、サーベイ記事も欲しかった。(MITの4Cアーキテクチャってどういうものなんだろう?)


 私が面白いと思ったのは、「ディジタルゲームにおける人工知能技術の応用」(三宅陽一郎/フロム・ソフトウェア)と「ゲームキャラクタのための行動制御技術」(中野敦/筑波大学)。


 三宅の論文から面白かったところを幾つか。
まず、彼はゲームAIを3つの時期に分けている。1972〜のパターンAI、1994〜の構造化AI、2001〜のエージェントAIである。第1期の末期にときメモが、第2期の末期にガンパレードマーチが、それぞれあたるのは偶然ではないのだと思う(どちらも言及されていないが)。
 ゲームシステムにおけるAIでは、難易度自動調整、マップ自動生成、オブジェクト自動生成、遺伝的アルゴリズムが紹介されている。マップとオブジェクトはそれなりに成果を出している(コンテンツ生成の合理化)が、他は停滞中といったところなのだろうか。
 行動制御の最先端はFPSのキャラ制御にあり、と。この分野は日本が遅れてるからなあ。MGSもバイオもそういう風には作られていないし(最新版はまだ不明)。どこにどのような経路で移動するかは、確かにFPSのキャラ制御には重要で、しかもAI的に面白い題材なのは事実。「Halo3」って遊んだ方がいいのか(F.E.A.R.のPS3版は日本に来てない)。


 あと、ゲームに使うNPC制御用AIとしては、インストラクターとしてのAIと演出のためのAIがあるかな。
インストラクターというのは、「いたスト」とかが分かりやすいけれど、特定の戦術や強み弱みをプレイヤーに披露するためのAI。
演出としてのAIというのは、故・多摩豊氏が講演か何かで言っていたもので「西部戦線のゲームがあるとするでしょ。プレイヤーは独軍。自分が対峙しているのが、パットンかモンティかで全然違うゲームになるじゃない」とか、「桶狭間でコンピュータに今川を持たせれば、ゲームになるじゃない」とかいう話。ヒストリカル系のシミュレーションで、再現が難しいものでもAI自体に演出機能を追わせてしまうという発想。


 中野の論文は、キャラクタの振る舞い生成とストーリーテリングの解説。振る舞い生成は内部パラメータをどのようにキャラ動作に反映させるかという話。ストーリーテリングは、ようするに「絢爛舞踏祭」のこと。これもサーベイ記事があったほうがよかったなあ。