k-takahashi's blog

個人雑記用

物理数学の直観的方法

物理数学の直観的方法―難解な数学的諸概念はどう簡略化できるか

物理数学の直観的方法―難解な数学的諸概念はどう簡略化できるか

 自分が学生だった頃の話。2年生の時に受けた複素関数論の講義がどうにも腑に落ちず、結局単位は取れなかった(選択科目だったので、別に大きな支障は無かったのだが)。 翌年、流体力学の勉強をしていたときに、ふいに「ああ、そういうことか」と複素関数の話が腑に落ちた(道具立てが同じなんです)。そこで、試験日程を確認してみると、複素関数論は受験可能な日程。折角だからと思って受験(一応、前年に登録してあったので、再受験扱いが可能だった)してみたら、楽々「優」評価。まあ、こんなこともある。
 こういうことは別に数学に限らず、日常生活でも時々体験することだが、相手が数学だと、満足度も高いわけですね。


 そういう「ああ、なるほど」感が得られる一冊。題材は、微積分、テイラー展開行列式固有値オイラーの等式、rotと電磁気学、ε−δ論法と位相空間フーリエ級数複素関数エントロピー解析力学。 もっともどこで「ああ」が得られるかは人によって異なるかもしれない。私はrotのところが参考になったし、一方で、ラグランジュアン・ハミルトニアンは学生の頃訳が分からず苦労したことを思い出したり(解析力学は、手に覚えさせた方がやはり早いような気がする)。フーリエのところは「こういう説明もあるのか」と感心した。

 数学的厳密さとかは、昔から批判の対象だったけれど、そういうことを言う本ではない。学生ならば、本書を読んでから通常の教科書に挑むべきなのだろう。 が、私はあくまで趣味で読んでいるだけなので、ここでおしまい。


 ところで、ググってみたら、出版当時のエピソードが見つかった。
http://www012.upp.so-net.ne.jp/ppt-3rd/shuki.html
兵法的な言い回しが目に付くが、それが後の「無形化世界の力学と戦略」に繋がるのだろう。(こっちも昔読んだことがあります。なんでもかんでも数値化してしまう、というところが、面白い本でした。)