k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究2008年4月号

軍事研究 2008年 04月号 [雑誌]

軍事研究 2008年 04月号 [雑誌]

 特集は韓国軍。まっとうに考えれば、韓国軍の仮想的は北朝鮮、加えて韓国空海軍には北京政権への備えも必要ということで、その意味では、とりあえずそれなりの備えはできている。装備は一般に思われている以上に充実しているようで、国情に合わせた自主兵器開発も進展している。 一つ面白かったのがグローバルホークの扱い。韓国軍はグローバルホークを求めているのだが、実はこれはMTCR(ミサイル関連技術輸出規制)に抵触するため韓国には輸出することができない。日本が入手可能なのは、米国が日本を「NATOプラス3(日、豪、ニュージーランド)」に含めているから。米国には韓国をこのレベルに格上げする動きもあるそうで、これが実現すれば、現場レベルでは「アジアン・フリート」的な認識はしていないということの証になるのだろう。
 韓国経済発展の基礎を作った朴正煕の記事に面白い記述があった。軍需の基盤は民需であるとして、国防費の3割をそのために費やしたというのだ。なかなか思い切った策を取ったものだ。


 あとはエピソード的に面白い記事が多かった。

  • 「北海道11師団の雪像制作の工程は、陣地構築の行程と同じで、いわば実戦訓練であった」
  • 1990年のイラククウェート侵攻が、戦略作戦レベルではかなり高度なもので、戦力もかなり高かったことの具体的説明
  • そのクウェート侵攻をパウエル議長もシュワルツコフ大将も、ブラフあるいは限定的攻撃と判断していたこと(情報はほぼ正確に把握していた。そしてその情報が正確であり、兵站が貧弱すぎるという事実も把握していたがために、フセインによる侵攻は予測できなかった。こういうところは陰謀論者の人が理解したくない現実)。
  • フィンランドが、第一次大戦後に戦後日本もかくやというほどの平和ボケ状態だったこと


 久野武志氏のコンゴ取材レポートは、なんというか酷い状況が伝わってくる記事。全体像が今ひとつ把握しきれないので、善し悪しを判断することは難しいが、しかし、こういうのってどこから手を付けたらいいのやら。さらに、コンゴ民主共和国の北にはダルフール紛争をかかえたスーダンがあったりもする、と言えば事態の深刻さと収拾の目処の付かなさも推測できよう。