k-takahashi's blog

個人雑記用

ケータイ世界の子どもたち

ケータイ世界の子どもたち (講談社現代新書 1944)

ケータイ世界の子どもたち (講談社現代新書 1944)

 よくまとまっていると思います。議論のとっかかりにするのにはちょうど良い本だと思います。
ただ、読んでいると、結局昔からやってきたことの繰り返しだなとも感じました。まともだった頃の香山リカが「テレビゲームが一部の子供にとっては最後の居場所」的な言い方をしていたことがありますが、

ネットにアクセスすることで救われている子どもは多いはずです。そのような子どもだちの居場所を奪ってしまうことに、私たちは拙速であってはなりません。(p.137)

という記述など、ほとんどデジャブ。マンガ、テレビ、ゲーム、ケータイ、と来て次は何でしょうかね。


 著者の主張する具体的な解決案は私の目から見ると懐古主義的でリアリティに欠けるものですが、著者の基本的な姿勢は「大人がきちんと関与しましょう」というものであり、ケータイ禁止論をフード・ファディズムに準えるなどバランスはきちんと考えている。


 でも、結局はケータイ世界の問題は、ウェブ世界の問題の写し絵なんですね。「加速感」とか「ばれないと思った」とか依存症とか。だとすれば、禁止は逆効果だし、銀の弾丸もありえない。