k-takahashi's blog

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見てわかるDNAのしくみ

DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス)

DVD&図解 見てわかるDNAのしくみ (ブルーバックス)

 DNAが二重螺旋構造を持っていることはたいていの人が知っている。DNAが複製されることも、mRNAにコードが読み出されtRNAでコードからタンパク質を合成することも、生殖細胞減数分裂が起こることも、減数分裂の際に乗り換えが起こることも、DNAの情報が棄損することがあることも、棄損した情報を修復する仕組みがあることも、科学に興味のある人なら知っている。
 が、それが実際に「起こっている」というイメージを持っている人は少ない。
 本書は、動画により「起こっている」ものを見せてくれる。


 実際に映像化する際の苦労話も本書には書かれていて、実は専門の論文などに出る図は、直接の論旨に関係のない部分はあまり正確でないことがあるのだそうだ。だから動画として全体を見せようとすると足りない情報がどんどん見つかる。それを補っていく作業がかなり大変だったそうだ。


 さすが動画、と感心したのが、DNAの複製メカニズムの解説部分。
 親DNAをヘリカーゼが2本の一本鎖に分割し、それぞれの一本鎖をポリメラーゼが二本鎖にしていく。問題は、ポリメラーゼが動く方向が一方行でしかないこと。二重螺旋は向きの異なる2つの一本鎖が組み合わさったものだから、一方は向きが合わないのである。そこで色々なモデルが提案されてきたのだが、本書が採用したのは2つのポリメラーゼが違う向きについているというもの。これがどう動くのかは本書でも文章で説明されていたが、正直全然ピンと来なかった。
 それが映像を見れば一発。なるほどと思った。

 ただ、なんでこんな仕組みになっているのか、なぜ2つの方向に動く2種類のポリメラーゼが作られなかったのか、など疑問も残った。「不自然に感じた」というのも、研究の着眼点としては構わないが、それで結論までいってしまっていいのかな、とも。


 でも、面白いです。動画全文で1時間強ありますが、楽しく見られます。


 ブルーバックスシリーズとして出たために、8センチDVD3枚というよく分からない仕様になってしまったのは残念。入れ替えが面倒で良いことがなにもない。