- 作者: 貴志祐介
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1998/12/10
- メディア: 文庫
- 購入: 38人 クリック: 500回
- この商品を含むブログ (184件) を見る
主人公は、保険会社で死亡保険査定を担当している。業務柄、死亡・事故処理や、不正請求対応などが絶えない。ある日、顧客から自宅に来て欲しいと頼まれた彼は、嵯峨野にある顧客の自宅に出かける。真っ黒で得体の知れない臭気を漂わせるその家で、主人公は子供の首つり死体の発見者となってしまう。経緯に不審を抱いた主人公は調査を行うが、というのが前半部分。
保険金目当ての犯罪をベースにしたホラーミステリーで、発表後に和歌山毒カレー事件が起こったことも注目を集めた理由だったようだ。
読んだ順番のせいもあるのだろうが、「新世界より」との類似性が目の前にちらつき続けた。遺伝と性格の問題、適応の問題、とくに異常な個人に対して社会がどう対応するかといったあたりに共通点が多いように思う。圧倒的に強い相手が不気味に迫ってくる辺りも似ているかな。この辺は描写も含めて非常に秀逸だった。
終盤(コンビニ買い物エピソードのところ以降)はちょっと急ぎすぎな感もあるけれど、クライマックスをのろのろ書くのも興ざめだから、これでいいのかも。
どちらか一方ということなら「新世界より」がお薦めですが、SF慣れしていないなら本書の方が入りやすいかもしれません。