k-takahashi's blog

個人雑記用

SFマガジン 2008年10月号

S-Fマガジン 2008年 10月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2008年 10月号 [雑誌]

 特集は2本立てで、ジーン・ウルフ野田昌宏

 ウルフの方は「新しい太陽の書」の新作合わせで、関連短編が2本と、エッセイ、解説記事など。4年前の「アメリカの七夜」ほどではないにせよ、やはり読むのが大変な作者ではある。今回は、雰囲気を味わうだけでよしとしました。本格的に読もうとすると長編5冊に突っ込まざるをえないし、ウルフの長編5冊なんて、読むのに何ヶ月かかるか分かったもんじゃない。

 大元帥の方は、エッセイをそのまま小説仕立てにしたような「レモン月夜の宇宙船」とエッセイ4本に追悼エッセイ。どれも「いかにもらしい」文章ばかりでした。伊藤典夫氏のエッセイでは、「野田節と呼ばれるあの翻訳とも創作ともつかない作風である」について簡単に触れられている。「ヘルメス落ちてくる地獄」の中に数行だけ登場する「たんたんとした翻訳文体のなかに、何の前触れもなくべらんめえ調で喋る人物」が思い出深いとのこと。


 雪風第三部は「ブロークン・アロー」の第2回。情報は増えているのだが、誰がジャムで誰が人間か、どこが現実でどこが仮想か、はさっぱり分からず。


 大森望氏のエッセイに、ストリートビューの話題がちょっと出てくる。これをamazonの検索と並べた見方が面白い。

ストリートビューがプライバシーと利便性のトレードオフであるように、書籍全文検索著作権保護と利便性のトレードオフなんですが、全体としてみれば、出版界にとっては明らかにプラスだと思う。(p.98)

amazonのSearch Inside the Bookに対抗してGoogleが始めたのがBook Search。これがほとんどSFというのもまさにそうだよな。