k-takahashi's blog

個人雑記用

信用偏差値

 アメリカでは、個人の与信信用情報をクレジット・スコアという形で数値化している。お金を貸す側から見たときにリスク評価値みたいなもので、これが高ければ安全な借り主、低ければリスクの高い借り主ということになる。サブプライムローンというのは、高リスクの人達を対象にしたローンだったわけです。
 このクレジットスコアが日本にも導入されるだろうという見通しに立って上で、それが、どういう理由で導入されるのか、どのような影響を持ちうるのか、個々人の生活にどのような影響が出るのか、を解説した一冊。
 例えば、リスクの低い人には低金利で、リスクの高い人には高金利でのローンを認めるというようにすることが行われている。金持ちほど有利になる仕組みというわけで、なるほど問題がありそうな方法だ。一方で、収入は少ないが、真面目な性格で、借金はきちんと返す(振り込み類の期限もきちんと守る)という人の金利を下げることができれば、悪い話ではないとも言える。(現状はそうはなっていない)


 クレジットカードと電子マネーの競争という視点(消費者にとっての使い勝手ではスピードや手軽さの点で電子マネーに大きく分がある。一方、電子マネーに対するクレジットカードの最大の強みは与信管理。ただ、ドコモやセブンイレブンはこの部分にも踏み込もうとしている。)、与信情報の共有による多重債務の防止という視点、金融庁の金融業界再編の思惑という視点、など複合的に解説している。特に電子マネーとクレジットカードの競争の部分は詳細で、本書を電子マネー史の概略と電子マネーを考える上でのポイント整理のために使うこともできそう。(本書の2〜4章部分)


 後半で著者は、クレジットスコアが日本に導入されるのは避けられないという結論をベースに、自分の行動を見直すことを薦めている。カードの使い方の詳細にまで踏み込んだこの部分は、納得できる指摘もあれば、どうかなと思う部分もある。結局、金融機関にとってのマーケティングツールなのだから、単にアメリカ流をそのまま持ち込んでもダメで、日本お得意の「アレンジ」が必要になると思う。だから消費者側も、アメリカ人の行動のコピーではダメだろう。アメリカ人と日本人では行動パターンが違う。(借金の繰り上げ返済とか、日本では推奨される行動だが、アメリカでは異常な行動と見なされるらしい。)
 ただ、日本にもクレジットレコードというのは、ちゃんとあり、自分の生活を見直すためにも見ておくと良いというのは同意。CICに申し込めば1000円強で手に入るとのことなので、そのうち申し込んでみたい。 クレジットスコアを意識した行動云々の部分は、今の不況が終わってから考えればいいだろう。