撮る自由

撮る自由―肖像権の霧を晴らす

　「撮影する」と「公表する」は別のことであり、それを混ぜて議論するのは変ではないか、というのが基本的な主張。いわゆるプライバシーや肖像権についても「撮られない」と「公表されない」は区別した方がよいだろうし、それは別の基準でと言っている。
　この主張を認めた上でも色々な課題はありえるのだが、とにかくここは区別しましょうよという主張はよいスタート点だと思う。

　もともとは、ストビュー問題を考えるネタにと思って買ったのだが、そちらへの言及はなかった。まあ、ストビューは公開・無意志撮影が前提なので著者の問題意識とは違うところにあるわけだけれど。

　残念なのは、終盤に政治的偏向丸出しの記述（特定意図のもとに誘導を図った記述）が出てきてぶちこわしになってしまうところ。いきなり、全体がうさんくさくなってしまった。色々とちゃんとしたことも書いているはずなのに、なんでこうなっちゃうんだろう。

　何が判決として出ているのか、という事実関係の確認には良いと思います。