k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2009年11月号

Newton (ニュートン) 2009年 11月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2009年 11月号 [雑誌]

 特集は遺伝。まずインパクトがあったのが、東京大学教育学部付属中等教育学校の双子達の写真。研究用に「双生児枠」が入学定員に設けられているので、52組(104人)の双子がいるのだそうだ。1クラス平均で7名という密度は世界にも例がない。その双子達の集合写真がpp.20-21に掲載されている。一卵性の双子が似ているのもさることながら、二卵性も双子も似てるのが分かる。
 そうして集めたデータを元にして、「理科と社会の成績に遺伝の影響が強く表れる」ことが分かったそうだ。(逆に、国語と算数は環境の影響が大きい)これは数値化されており、たとえば女子中高生の場合の体重は遺伝因子の影響が88%と分かっている。同じ方法で計算すると、知能テストの成績への遺伝の影響は70%になるそうだ。そして、実際に知能に影響を与える可能性のある遺伝子は幾つか見つかっており、検証が行われているとのこと。
 こういう話題がきちんと出せるのは科学雑誌のありがたいところ。


 「新しもの好き」の性格も遺伝子の影響が大きいことが分かってきた。DRD4遺伝子の中に48文字の決まった並びが何度も繰り返されている部分があり、この繰り返しが多いほどドーパミン受容体の感度が低くなり、より強い刺激を求める傾向が出るのだそう。まだ、それほど検証が進んでいない仮説らしいが、面白い話。で、アメリカ人にはこの繰り返しが7回の人が多いが、日本人は4回の人が多いとか。


 あとは、人の外見は複数の遺伝子の影響を受けた複雑なものであることが分かっているが、それすらも遺伝子から計算してしまおうというプロジェクトがアメリカにはあるそうだ。犯人が残したDNAから外見を推測するそうだ。


 写真は土星の写真が良かった。土星の自転軸が太陽光に対して垂直になる分点は約15年に1度発生するのだが、このとき、リングに対してほぼ真横から太陽光が当たる。そうすると、リングの凹凸構造が影となって観測できるのである。そんな写真が幾つも。


 宇宙論の解説記事も面白かった。中でも「誤解5:地球から観測できる宇宙の距離は137億光年だ」というのは気づいていなかった。宇宙の誕生が137億年前だから、それより遠い(古い)光はないことになりそうだ。ところが、厳密にはこれは間違い。

137億年前に出た光が現在の地球に届いたとき、137億光年の距離を進んできたというのは街がありません。ただし、137億値前にその光が放たれた地点は、その後の宇宙膨張によって現在は約470億光年の彼方に遠ざかっています。つまり、われわれが観測している宇宙は、現在は地球から470億光年の範囲に広がっています。(p.72)

言われてみればごもっとも。ビッグバンの瞬間に距離を測れば(相対論には目をつぶる)数キロだが、届くまでには137億年かかり、そしてそれは今測れば(再び相対論には目をつぶる)470億光年となるのか。面白い。