k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究2009年11月号

軍事研究 2009年 11月号 [雑誌]

軍事研究 2009年 11月号 [雑誌]

 「陸上自衛隊に対する誤認識を糾す」(横地光明)は、陸自の旅団化構想を批判する論文。列国の旅団化が言われているが、英独伊は旅団を師団に隷属させ、米国は必要に応じて師団を構成、仏はEMFという師団司令部相当の組織がありそのもとで活動、となっていることを指摘。それに比して陸自の旅団が方面総監直轄であり要求機能が大きくなっていることを示し、能力不足の懸念を呈している。
他にも複数の指摘があり、よいチェックリストになっている。


 「高度な自治か、イラク分裂か」(村上和己)はクルド自治区のレポート。
ペシュメルガという武装要員がおり、自治区の治安維持を任務にしている。反フセイン闘争時からの歴史があり経験は豊富ということで実効を示しているそうだ。
他にもメディア弾圧については、身柄拘束といった実力行使こそなくなったものの、フセイン政権下で定められた法規を用いた名誉毀損訴訟などは数多いらしい。情報アクセスへの不便も相変わらず(だからtwitterがあれほどもてはやされる訳なのか、と納得)。さらには、KDP,PUK関係者になれば経済的に豊かになれるということも事態の改善の妨げになっているそうだ。


 一戸祟雄氏の「装甲の発達と防御メカニズム」の連載はレオパルト2の記事。
例によって詳細な情報が書かれており、試作戦車の開発状況を示す表や各装甲部位毎の防御力表などが掲載されている。拘束セラミック複合装甲については、図入りで解説されている。高強度材料のスリーブにセラミックを嵌め込んだ構造を持ち、このセラミックが締め付けられた状態になっていることから「拘束」となるのだが、この全体構造とセラミックセルのそれぞれに説明図がついている。これは初めて見た。(p.190)
 また、砲塔前部に装甲セルを挿入するためのスペースがあり、これも写真付きで紹介。
このシリーズ面白いので、連載完了後に単行本になってくれることを期待。