k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究2010年7月号

軍事研究 2010年 07月号 [雑誌]

軍事研究 2010年 07月号 [雑誌]

 巻頭カラーは先日のロシア対独戦勝記念日パレード。SS-27でかいなあ。さすが、ICBM


 まずは天安爆沈事件の分析記事が2つ。推測される状況や、どんな証拠があったかなどの紹介記事。混合爆薬の成分が、3年前に韓国が入手した北朝鮮製魚雷と一致したようだ、とか。
記事中で藤井非三四氏は、北朝鮮の意図を以下のように推測している。

このような偶発的な事故の再発を防止したいと言われれば、国連側も同意するしかない。どうしてこのような衝突が頻発するかと言えば、NLLが問題だと話を運ぶ。これは1953年7月27日締結の朝鮮軍事休戦協定の第一条「軍事境界線および非武装地帯」に明文の規定がない。だから、これを境界線とするのは問題なのだと理屈をこねる。では、開場にも非武装地帯を設けて偶発的な衝突を防止しようとなれば、休戦協定の見直しとなる。そこを北朝鮮は狙っている。
休戦協定の見直し、それに引き続き休戦協定に変わる平和条約と話が進めば、北朝鮮の生存は確実に保証されるだろう。(p.38)


 野木恵一氏の「オバマ政権のBMDレポートを読む」は、米国の弾道ミサイル防衛見直しの解説。どんな脅威があり(要は、イランと北朝鮮)、どのように対応しようとしているかの分析で、分かりやすい。
国際協力については、多数の国の名前があがっている。中東諸国が軒並み「協議中」となっているのは興味深いが、具体的な話になっている国も多い。野木氏の言うように、「一頃は海のものとも山のものとも付かなかったミサイル防衛だが、現在では明確にひとつの潮流となっている(p.61)」ようだ。


 石川潤一氏によるF-35の記事もある。日本では「F-22が入手できないから」的な言われ方をすることが多いが、これは「システム」としてのF-35を解説したもの。センサーや情報処理能力、多用途性などが示される。
センサーは、アクティブ型のAPG-81 AESA、光学分散開口型のAAQ-37 EO-DAS、ターゲッティングシステムAAQ-40 EOTS、の3本立て。これらで集めた情報を分析してHMDに表示することができる。実はラプターはこの統合ができていない。
また、搭載可能な兵装の種類も多く(20種類以上)、兵装ステーションも11カ所と多い。ガンシステムも25mm機関砲を搭載している(ラプターは20mm)。 
で、こういうのを統合するソフトウェアや、運用するシステム構築は米軍の十八番。単にステルス性ばかり見ているとこういうのを見落としがち。


 斎木伸生氏のハワイ観光案内(?)は面白かった。
ハワイには多数の砲台跡が残っているのだが、そのなかの「レアヒ・ピーク観測所」について。

実は、レアヒ・ピーク観測所は、筆者が紹介するまでもなく、たくさんの日本人が訪れているのだ、それもそれと知ることなくして。
それはこういうわけだ。ハワイには多くの観光ポイントがあるが、なかでもハワイの美しい景色を楽しむための、絶好のヴューポイントとして知られるのがダイヤモンドヘッドなのである。(p.241)

良い観測所は、良い観光ポイントになる、という、言われてみればもっともな話。