k-takahashi's blog

個人雑記用

陰謀論はどこまで真実か 〜ネタを楽しめなくなってしまった時代

検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定

検証 陰謀論はどこまで真実か パーセントで判定

よくある陰謀ネタについて、流布している主張とそれに対する反論という形でコンパクトにまとめた一冊。この手の話の好きな人なら八割方知っている話だと思うけれど、まとまっていると読みやすいし、知らないことももちろんある。

「超常現象」が廃れてしまったのも、陰謀論がはやる原因の一つだと、私は思っています。1970〜1980年代はそれこそ「超常現象」の隆盛期で、宇宙人が地球に密かに来ているとか、ネス湖ネッシーとか、ユリ・ゲラーとかの超能力が大ブームで、本気で研究がなされたこともあります。
(中略)
本来はそうした「夢のあるトンデモ」に流れるはずの人たちが、現代では陰謀論に流れ込んできているのではないか?と個人的には思っています。(pp.338-339)

という後書きが非常に腑に落ちた。マネタイズの手段という意味では、今も昔もたいした違いは無いのだが、いちいち陰謀妄想に落とすのは、たしかに芸が無いというか、なんというか。もちろん、70年代オカルトブームのときも、陰謀妄想ネタはたくさんあったけれど。


もうひとつ、その手の陰謀妄想に対抗するのは凄く手間がかかって大変だ、ということも後書きにはかかれている。実際、本書自体にも(この後書きも含めて)、結構厳密性に欠ける書き方になっているところはある(すべて調べた上で省略しているというわけでもなさそう)。その意味で、「信憑性をパーセントで!」という本書のアオリ自体が、あまりできの良いアイディアではないと思う。(営業上の理由というのは分かるけれど。)


個人的に一番がっくりきたのが「ダイアナ妃、謀殺」陰謀妄想。
現実を認めたくない人たちに始まり、反英(反王室)運動、反イスラエル運動、マスゴミ、売名家などが次々とよってたかって妄想を振りまき続け、いくら真面目に調査して発表しても駄目だった、というまさに、陰謀妄想の勝利そのものの事例になってしまっている。

この項を書くにあたって、ダイアナ妃ファンだった女性たちに質問してみた。「あれは事故死だったと思う?」
答えは少しショッキングなものだった。「事故死じゃない。絶対チャールズが殺したのよ」「エリザベス女王よ」「来日したときのチャールズ皇太子の目を見たら、あんなに冷徹なひとはいないってわかったのよ」もちろん彼女たちは暗殺の方法などは想像もつかないという。しかし確信しているのだという。陰謀論ととても近い考え方である。(p.238)

近いどころか、陰謀妄想家そのものである。実生活上、この手の「決めつけ」で嫌な思いをしている人は多いはず。当の彼女たち、そういう経験ないのかね?


誤記修正が http://asios-blog.seesaa.net/article/185307216.html に出てます。