- 作者: 奥出 阜義
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2011/02/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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本書によると、戦略力の原則は以下の11項目。
2つの主原則「目的」「創造」、5つの軸原則「主導」「集中」「奇襲」「機動」「柔軟」、4つの補完原則「統一」「簡明」「保全」「経済」。
この分類で良いのかという議論はあるだろうが、いずれも重要であることは確か。紹介されている4つの事例(アルプス越え、トレビア川、トラジメーノ湖、カンネー)について、戦術分析や原則との適合性などが書かれている。
おそらく、ケーススタディ的に大量のデータ(史実資料)が受講者には渡され、それを分析して決断を下すというロールプレイング形式の講義なのだろう。ケーススタディ用資料も付いていた方が面白い本になると思うが、価格は数倍になりそうだ。
史実では、これだけの大勝利を重ねながらも「ハンニバルは一人しかいない」という本質的弱点を突かれたカルタゴの敗北で終わるわけでですが、まあ、それは本書がいうところの戦略力の外にある話でしょう。あるいは、戦場で勝つだけでは戦争に勝てないという意味で、カルタゴの敗北もまた学びの事例となるのかな。
決断について一つ、面白い言い回しがあったので引用。
「決断した」と人が言うときは、実は、すでに「他に選択肢がない」状況にまで追い込まれていることが多い。本当の決断とは、「もうこうするしかない」という状況に追い込まれる前の、まだ選択肢がある状況の中で、最良の選択肢を選ぶことだ。(p.31)