Newton (ニュートン) 2011年 07月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2011/05/26
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関連記事として、宇宙飛行士の放射線被曝についての記事も掲載されていた。(宇宙では年間100〜200mSVの被曝量になるうえ、微少重力下では放射線の影響が高まることを示す実験結果もあるとか。)
当然ながら新規情報というよりは、きちんとしたまとめ記事というところに意味がある記事。
大気中核実験によるセシウム137降下量の50年分のグラフとか、セラフィールド事故の流出量のグラフとかは分かりやすい。
使用済み核燃料を輸送するための「キャスク」という専用容器については初めて聞く話もあった(試験方法とか、構造とかも図解されている)。
最近話題の放射線測定器についての記事もあった。4種類(GM式、シンチレーション式、電離箱式、個人線量計)の仕組と特徴、制限などが簡単にまとめられている。
『耳にする”放射線の測定値”が正しく測られたものか、まどわされないようにしたい。』(p.119)としっかり書いてある。
写真として面白かったのが、エジプト、ナイル川西側にある「クジラの谷」。約4200万年前〜3700万年前に生息していたクジラ400体の化石が集中して発見された場所。クジラが海中に適応していくまさにその時期の進化を示す貴重な化石が集中してみつかっている。
岩石砂漠の中に、後ろ足のあるクジラの祖先の化石が横たわっているのは非常に印象的。こんなものを見たら「ドラゴン」を連想するのは無理もない。
地震の記事もあるが、『緊急地震速報 なぜ速報できる? 空振りがおきる理由は?』が面白かった。3/11以降に「空振りが増えた」がその理由の一つは一部の地震計が機能しなくなったことによる影響。もう一つは余震や誘発地震の影響。
まず、ある地域で小規模な第1の地震が発生し、これを近くの観測地点Aでとらえたとする。観測情報をもとに地震の規模や震源の位置が推定され、この地震は緊急地震速報を発表する必要は無いと判断される。ここまでは問題無い。
その間に、地震波は周辺に伝わっていく。そしてほぼ時を同じくして、小規模な第2の地震が別の場所で発生したとする。この場合、別の観測地点Bでは、第1の地震の地震波が到達する時刻に、同時に第2の地震の地震波も到達するということが起きうる。すると観測地点Bでは、実際には比較的近くで発生した第2の地震による揺れであるにもかかわらず、「遠くで発生した第1の地震の揺れが大きい」と誤って認識される。(p.123)
これに、観測網の漏れと念のため意識とが重なると空振りが増えることになるわけか。
実は、今号で一番へえと思ったのは、前号の誤植訂正記事。誤植が多いのはぎりぎりまで引っ張ったせいだろうし、訂正記事が載るのはよい。そこに「初版でのみの誤り」と「重版分も残ってしまった誤り」と2つに分けて書いてあった。先月号、重版がかかったのかというところにちょっと驚いたり、納得したり。