- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2011/05/25
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HARMONYディック賞受賞に関連して、岡和田晃氏が指摘している
英訳されて世界へと紹介されるにあたり、HARMONYは、原文が間テクスト的に取り込んでいたドメスティックな(とりわけ、サブカルチャー的な)文脈を、日本固有の「空気」を肌で感じたことがなくても理解できる、よりシンプルな表現へと置き換えていくことで、「空気」に抗う「わたし」、すなわち「意識」の基盤となる「自我」の逡巡そのものを強調する戦略を採っているように思われる。
(中略)
私たちが浸かっている「空気」の問題と、英語でHARMONYを読む読者の目線の違いは、改めて強調しておく必要があるだろう。(pp.26-27)
というのは大事なポイントかなと思った。我々が英米SFを読むときにも似たような課題はあるし。
上田早夕里インタビューの、フランケンシュタインテーマ(遺伝子自体を触ること)についての以下の部分
現実の社会で無節操にやったら犯罪だし危ないことですが、それゆえに、そうなった社会も見てみたいという気持ちが強烈にあります。それを書けるジャンルはSFしかない。もし一般小説で同じことをやったら、「この改造計画は最後には潰れました」とか、何かが生まれたとしても「彼らの数が普通の人類よりも多くなるのは、ずっとずっと未来のことだろう」みたいなオチにしかならないでしょう。でも、私はそこから先を見たい、それが可能になるのはSFだけです。(p.47)
は頼もしくも、期待が高まる言葉。まだまだ書いてくれそう。