k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2012年03月号

軍事研究 2012年 03月号 [雑誌]

軍事研究 2012年 03月号 [雑誌]

F-35

巻頭記事は、「F−35AがF−Xに選ばれた理由」(青木謙知)。青木氏は、一部に流れている

  1. 「はじめからF−35ありき」だったのではないか
  2. 高額な装備品の導入なのに慎重に検討したように見えない
  3. まだ開発中の機種であり納期に間に合わない可能性がある

という批判に対して、「時期的に見て、F−35ありきとは思えない」、「むしろ問題は決定が遅れたこと」、「機種の統一には合理的理由がある」と解説し、批判が的を射ていないことを指摘している。
それよりは、空自の想定するミッションと整合しているかの検討や想定される現役期間を重視しているようだ。

技本

防衛省技術研究本部が目指す第6世代型ステルス戦闘機」(阿部琢磨)の中に面白い単語があった。

クラウド・シューティング…統合火器管制技術の研究(統合火器管制、先進コクピット)【コンセプト】
”誰かが撃てる、撃てば当たる” 捕捉した機以外の僚機でも敵機を撃墜可能なシステムの実現を目指す。(p.41)

ここのクラウドは、ウェブのCloudではなく、集団のCrowdの意味が強いようで、ネットワーク戦闘の技本なりの表現のようだ。

海兵隊

「在沖縄海兵隊による民生支援と民間交流」(芦川淳)は、米海兵隊の一般市民との交流のレポート。
中にフィリピンとの演習のことも書かれていて、そちらでは医療部隊が実際の医療をこなしてしまうこともあると書かれている。実践的と云えば実践的だが、日本ではちょっと無理だろうな。(もっとも、トモダチ作戦のときの「緊急着陸して荷物を投棄しよう」とか見ると、必要ならやってしまいそうだなとも思う。)
また、消防隊が地元と協力することもあり、米軍と地元消防隊と相互支援協定を結んでいるそうだ。何度も協力活動はしているとのこと。
あと、米海兵隊兵站組織は沖縄に拠点があるという指摘もあった。隷下には沖縄、岩国、富士、ハワイ、韓国の部隊があり、将来的にはグアムやダーウィンも加わる見込み。兵站となるとやはり社会インフラのしっかりした先進国に置きたいのだろうな。


その海兵隊だが、設立は米国独立より前だとか、黒船に勤務していたとか、のエピソードが「合衆国海兵隊の創設」という記事の中で紹介されていた。

インテリジェス

ソ連の政治的インテリジェンス/その1 パラノイア的作戦「オペレーション・ライアン」』(橋本力)では、KGB時代のソ連のインテリジェンスを紹介している。
ソ連のインテリジェンスの欠点は『インテリジェンスの政治化』というキーワードで語られており、そうとうの歪曲があったようだ。興味深いのは、この「政治化」を当時の西側が理解できていなかったということ。情報が少なかったというのもあるけれど、分からないことを理解するのは難しいのだな。
ちなみに、記事タイトルの「ライアン」は、レーガン時代に「アメリカがソ連に対して核先制攻撃を仕掛ける計画」の情報収集作戦。実際にはそんな計画は無かったのだが、政治局から執拗に情報を求められた現地エージェントは大変だったらしい。
(でも、当時、米国が核先制攻撃を狙っている、という本が実際出ていて私も読んだ記憶がある。反米運動家がソ連パラノイアの後押しをしていたという面もあるのかもしれない。