k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームの流儀 〜ゲームクリエイターインタビュー集

ゲームの流儀

ゲームの流儀

ゲーム雑誌「コンティニュー」に掲載されたロングインタビューを一冊にまとめたもの。16人で400ページ以上あるから、平均で25ページ強ということになる。
掲載されているのは、岩谷徹遠藤雅伸坂口博信糸井重里、仙波隆綱、中村浩+森田典志+塚田みさき、前川正人、海道賢仁、井上淳哉安田朗丸山茂雄須田剛一桝田省治芝村裕吏上田文人奈須きのこ。時期的には2001年〜2007年(桝田さんのみ、追加収録あり)


インタビューなので細かい突っ込みはあるけれど、こういう人たちの話はやはり面白い。ただ、収録時期が比較的古く(5〜10年前)、インタビュー時にどういう状況だったのかの解説は入れてくれた方が良かったと思う。読んでいて、戸惑うことが何度かあった。(インタビューの時期順ではなく、内容の時期順に並べ替えられているのも、この混乱に拍車をかけている。もちろん、そういう風に並べ替えることの意図は分かるし、それで得られたものもある。ただ、注釈は欲しかった。)


一番面白かったのは桝田省治さんのインタビュー。こいう話があって『ゲームデザイン脳』*1に繋がったのだろうけれど、本誌のインタビューの方が生々しい。


以下、幾つか個人的な備忘録として。

岩谷徹(2005年)

ギャラガなんかは、ほとんど開発が終わって、あとは難易度調整が残っているって状態だったんですけど、そこから半年かけたんですよ。(p.24)

遠藤雅伸(2004年)

独自のテクニックや名称などをリスト用紙にざーっと書いていて、それが束になってきたときに、ちょうど中村社長が来て、「なんだそれは!」と。「面白いなこれは! 遠藤君が書いたのか。これ、本にしろ」って、それがディグダグ豆本になった。あの豆本って、言わば攻略本の原点ですよね。だから、社長が「なんとか形にしろ」って言ってくれなきゃ、攻略本って考え方が生まれるのはもう少し遅かったかもしれない。(p.42)

安田朗(2003年)

バルログはすごいやり方で作られていて。「感動した」としか言いようがないんだけど。西谷君はキャラクターを考えるときに、国別と格闘技別に発想していたんですよ。まず、インドや日本、アメリカと言った出身国を選び、次に相撲やボクシングというように格闘技を選ぶ。それで中国では拳法というように、各国に格闘技を割り振っていって。あまったものがスペインと忍者だったんです。忍者は日本にしたかったんですが、既に日本には空手と相撲がいる。そこで、思いついたのがスペイン忍者。(p.247)

丸山茂雄(2005年)

本音を言うと俺は、俺のミュージシャンを任天堂に取られないようにするために、ゲームをやりたいと思ったの。(p.274)

芝村裕吏(2006年)

『精霊』を作ってる頃から、「長期の動員計画みたいなものを作っておいたほうが良さそうだ」という話は佐々木(哲哉)社長としてたんです。つまり、ヒットを打つことは、たまにでもできる。でもそれを得点に繋げることができない会社が多いんですよね。要するに、打線が繋がらない。ランナーが一塁に出たら、次に二塁に進めなきゃいけない。だから、管理職としては、もっと長期計画を立てて、次に繋がるものを作る。たとえばガンシューを一本作っても、設定でもノウハウでも、なんでもいいから次に繋げる。でないと仕事がやりづらくなるだろう、と。(p.359)

*1:

ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)

ゲームデザイン脳 ―桝田省治の発想とワザ― (ThinkMap)