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尖閣
芦川淳氏の記事は、尖閣が台湾・沖縄侵略の足がかりという副題。台湾侵略を実施する際の価値の高さを指摘している。
氏の記事では自衛隊の現状にも触れていて、
- 「陸自が対馬警備隊を、海自が対馬防衛隊を、空自が海栗島のレーダーサイに第19警戒隊を置いている(ただし、対馬は九州本土から近い)
- 平成14年度に創設された陸自の西部方面普通科連隊な島嶼部侵略への対処をあげているが、北朝鮮が主な対象。
- 先島諸島をみると、与那国島には2000m級滑走路と港があり、「台湾への侵攻の際にヘリコプターの発信拠点として最適」
などとしている。逆に、この辺をきっちり守ることが、中共の野心の暴発を防ぐポイントになるとも。
北朝鮮の軍人粛正
その銀河3号の影で、粛正が進む北朝鮮についての記事を黒井文太郎氏が書いている。
現在の北朝鮮の体制は、まだ30歳と年若い金正恩を、この二人が補佐するというのが基本型になっている。黒幕は張成沢で、彼が金正恩を補佐するかたちで、政策・方針を決め、実行する。軍部の不満は、崔竜海が抑えるという役割であろう。(p.65)
とし、2011年12月の金正恩政権以来、権力闘争が続いており、その中で常に張成沢の立場が強化されてきていることを指摘している。
そして彼らの政権運営の目的が独裁体制の維持であり、そのためには核ミサイルの開発は止めないだろうと推測している。
特殊作戦軍
福好昌治氏の「アメリカ統合軍の全貌 第5回」は、「特殊作戦軍」。兵員数削減が進む米軍にあって、特殊作戦軍はこの5年で1万5千人以上増えている。
氏の記事ではこの軍の編成と解説をしている。編成表も掲載されていて、ちなみに有名な「シール6」は、海軍特殊戦コマンドの「開発群」という名前になっている。
もう一つカラーページ連載の「マリーンズ」も特殊部隊で、こちらは海兵隊の独自路線(「海兵隊は常に一定水準の特殊作戦能力を備えている」と主張)と、それでも統合軍を作るから部隊を出せといわれてしぶしぶ部隊を出した経緯などが記されている。
KC-46A
石川潤一氏による、マルチロール機としてのKC-46Aの解説記事。
複数の給油方式(フライングブーム、WARPS(ブローブ・アンド・ドローグ)、CDSの3つ)を持ち、さらにフライト中にそれらを使い分けることができる。(つまり、フライングブーム対応のイーグルと、WARPS対応のホーネットの両方に給油できる) また、CDSは無人機への給油に向いているとのこと。
また、輸送機としての能力も持つので、一機で、給油支援、予備クルーや整備員の輸送、整備用機材の輸送、が可能というのも使いやすさに繋がっている。
国家親衛隊構想
小泉悠氏によるロシアの「準軍事組織」の解説。革命と二次大戦を経て色々あったが、1966年にとりあえず「国内軍、国境軍、連邦軍」の三本立て(内務省、KGB、軍)となったが、ソ連崩壊後にまたわやくちゃになった。その辺の解説。1995年には10組織に、2005年にはある程度整理されたがそれでも7組織。
なお、諸外国では準軍事組織(日本の海保)は警察に準ずることが多いが、ソ連では軍に準じていたそうだ。
整理した表が載っているのだが、ややこしいなあ、という感想。
アフリカを食い散らす中国
江口博保氏の記事。中共のアフリカ兵器輸出がかなり異常であることを示している。例えば、兵器禁輸措置対象国(スーダン、シエラレオネ、ジンバブエ)への兵器輸出の量を示す表が掲載されている。ロシア、ウクライナ、中国が突出している。
また、欧米諸国がまがりなりにもアフリカ諸国の発展と安定への貢献を担っているのに対し、中共はそういった意識がまったく無いことも。
防衛省技術研究本部
阿部琢磨氏による、昨年11月13日の「防衛技術シンポジウム」のレポート。
「ゼロ・カジュアルティ」というのが重要なテーマだったとのこと。これは、人的被害を出さないという意味。
またACIES IIIについては、自衛隊迷彩パターンが施されたこと、野外でもが実施され、口頭指示が不要になること位置データ共有により連携が円滑化することなどが示されたこと、重量がやはり課題であること(現在30kg)など。
イランの核開発
鈴木基也氏による記事。例のアブドゥル・カディル・カーンの暗躍振り、ホメイニによる核開発指示、密輸の手口、など、現代軍事ものゲームのシナリオに使えそう。
ちなみに、鈴木氏の私見では、イランの核兵器開発は「正当防衛」となるようだ。
北朝鮮との「軍事同盟」の話が無いのは紙幅の関係かな?