k-takahashi's blog

個人雑記用

エンゲルバート氏の業績を称えてはならない

パソコン用のマウスを発明し、コンピューター業界に革命をもたらしたダグラス・エンゲルバート(Douglas Engelbart)氏が2日、米カリフォルニア(California)州の自宅で死去した。88歳。

PCマウス発明、ダグラス・エンゲルバート氏が死去 88歳 写真1枚 国際ニュース:AFPBB News

昨日のニュースだけれど、ダグ・エンゲルバート氏が死去。
上記の記事のように、「電子メールやビデオ会議、ハイパーテキスト、そしてインターネットの前身であるアーパネット(ARPAnet)などの開発に取り組んだ」と紹介されることが多い。私も、氏について説明するなら「マウスの発明者」と言うと思う。


ただ、それは間違った認識だ、という記事があった。

The problem with saying that Engelbart "invented hypertext", or "invented video conferencing", is that you are attempting to make sense of the past using references to the present. "Hypertext" is a word that has a particular meaning for us today. By saying that Engelbart invented hypertext, you ascribe that meaning to Engelbart's work.

A few words on Doug Engelbart

(適当訳:エンゲルバートが「ハイパーテキストを発明した」とか「ビデオ会議を発明した」と言うのの何が問題かというと、現在あるものを基準にして過去のものを解釈しようとしているところだ。「ハイパーテキスト」は現在の我々にとって特定の意味を持つ言葉だ。だから「エンゲルバートハイパーテキストを発明した」と言ってしまうと、今のハイパーテキストエンゲルバートの業績だととらえてしまうことになる。)


それはそれで正しいような気もするが、それは違うとこの著者(Bret Victor)は言っている。


そうではなくて、エンゲルバートが何をしようとしたのか、彼の意図は何か、を考えろ。エンゲルバートが目指したのは、「He intended to boost collective intelligence and enable knowledge workers to think in powerful new ways, to collectively solve urgent global problems.(適当訳:エンゲルバートは集合的知性を強化し、知的労働者がよりパワフルに考えることができるような方法を目指していた。多くの知性を結集し、緊急性が高く世界的な問題を解決するためだ)


だから、

The least important question you can ask about Engelbart is, "What did he build?" By asking that question, you put yourself in a position to admire him, to stand in awe of his achievements, to worship him as a hero. But worship isn't useful to anyone. Not you, not him.
The most important question you can ask about Engelbart is, "What world was he trying to create?" By asking that question, you put yourself in a position to create that world yourself.

A few words on Doug Engelbart

(適当訳:エンゲルバートについての質問のうち、一番意味の無いものが「彼が何をしたか?」だ。この質問をするということは、彼を崇拝したいとか、彼の業績に打ち震えたいとか、英雄として称えたいとか、そういうことだろう。でも、彼にとっても、あなたにとっても、他の誰にとっても、そんなものは無意味だ。
一番重要な質問は「彼はどんな世界を創ろうとしていたのか?」だ。この疑問を持つことで、あなたは世界を創る側になるのだから。)


誰かを崇拝するのではなく、未来を創る側になれ。あなたがエンゲルバート氏を尊敬するのであれば、なおのことそうあるべきだ、と。