k-takahashi's blog

個人雑記用

ペルディード・ストリート・ステーション

ペルディード・ストリート・ステーション (上) (ハヤカワ文庫 SF ミ)

ペルディード・ストリート・ステーション (上) (ハヤカワ文庫 SF ミ)

 
ペルディード・ストリート・ステーション (下) (ハヤカワ文庫 SF ミ)

ペルディード・ストリート・ステーション (下) (ハヤカワ文庫 SF ミ)

蒸気機関と魔術学が統べる都市国家ニュー・クロブゾン。中心に巨大駅ペルディード・ストリート・ステーションが聳えるこの暗黒都市で、統一場理論の研究を続ける異端の科学者アイザックは、ある日奇妙な客の訪問を受ける。自ら犯した大罪のため、翼を奪われた「鳥人」ヤガレクは、命にも等しい翼の復活をアイザックに依頼するのだった…。

異端の天才科学者アイザックは、“鳥人”ヤガレクの依頼に応えるべく、飛翔理論の研究を進めていた。だが、検査サンプルに紛れ込んでいた謎の幼虫が羽化、圧倒的な力を持つ夢蛾スレイク・モスとなって、住人を無差別に襲い始めた。モスを解き放ったことから追われる身となったアイザックは、ヤガレクとともに夢蛾を追って卑しき都市をさまようこととなる。


上巻は、この異様な都市の描写が中心。様々な異種族が混在しているので、雰囲気としては、バビロン5のようなイメージを持って読んでいた。
バチガルピのような、ダークで暑苦しい雰囲気の都市を舞台であがき回る人たち。(異種族たくさんだけど)


上巻の最後でスレイク・モスが解放されてしまい、下巻はモンスター・ホラーっぽい展開。まったく共同作戦がとれない諸勢力がどんどん消耗していく中、アイザックが一網打尽の作戦に入る。


最後は、主要な登場人物が、死ぬか、裏切られるか、逃亡生活を強いられるか、といった感じになる。まあ、これは作品の雰囲気上はそうなるかな、というところ。(いくらなんでも、この世界で「めでたし、めでたし」にならないのは分かるだろう。)
もちろん、世界に革命は起こったりしないし、社会改革が進んだりもしない。この辺は、サイバー・パンクっぽい。


終章は、ヤガレクが翼を取り戻せたかというトピック。結果はともかくとして、かなり唐突感のある展開(あのキャラ、もう少し早く出しておくべきだと思う)だった。ここは不満。


前半の異種族満載の都市描写、それをふまえての後半のモンスターホラー展開が見所。
著者の単行本リストのところに「RPGは除く」と奇妙な記載がある。実は、プロとしてRPGのサプリなどの執筆を行っており、"Pathfinder"などでは名前もきちんと出ている。

そういう目で見ると、後半の色々な勢力と関わりつつモンスターと戦うあたりとか、シャドウランクトゥルフっぽい感じでもある。


以下の記事

『ペルディード・ストリート・ステーション』には鳥人、昆虫人、両生類人が出てきます。サボテン人間も出てきます。魔法使いが出てきます。錬金術師が出てきます。リメイドと呼ばれる改造人間が出てきます。次元界を瞬間移動する巨大な知性のある大クモが出てきます。都市の大使館区には地獄の大使館があります。労働決起集会を鎮圧しようと空飛ぶクラゲに乗った民兵が現れます。狙撃兵が魔法使いに千里眼のサポートされながら煙幕ごしの射撃をします。スパイダーマンならぬカマキリ男が出てきて、バットマンよろしく謎のヴィジランテに活躍します。人間に寄生する「手」が出てきます。しかも、そいつらが空を飛びながら火炎を吐いて空中戦を繰り広げます。廃棄された機械の意識が集まって人工知性体が誕生します。冒険者たちが姿を一目見ただけで放心状態に陥る怪物を相手に視線をそらしがら戦いを挑みます。

RPGゲーマーのための『ペルディード・ストリート・ステーション』ガイド: Analog Game Studies

もどうぞ。