k-takahashi's blog

個人雑記用

言論封殺

原発事故から2年経って、多くの人が癌や奇形をデマと理解してきたこの頃は「事故当初は”チェルノブイリ事故とは性質が違う””健康被害が出るのは瞬間被爆 100 m㏜ 以上で、今回の被曝量は少ない”などと言っていた専門家が、事故後数か月後にはマスコミには出なくなってしまった事が残念」という意見を時々聞きます。
地震津波の被害に苦しみ、初めて見た原発事故のパニックから「誰かを悪者にしなければ気が済まない」気持ちがマスコミやネットを通じて増幅し、政府や東電社員を罵倒し、科学技術に対する憎悪さえ渦巻いていたあの頃は、インフルエンザ騒動と同じ「振り返ると理解不能な日々」でした。
エセ正義の科学者達など、妙に嬉々としていた方もいましたけど。
あの頃の異常な雰囲気や自分の身の上に降りかかったことを自分自身もあと数年すると忘れてしまう可能性があるので、信夫山ネコさんのブログでコメントした内容を補足しつつ転載します。

科学者が放射能騒動に関わらなかった理由 ( 生物学 ) - ブログ版ききみみずきん - Yahoo!ブログ

というエントリーがあり、最後の

2年以上経った今は「最初から安全と言ってくれれば良いのに」という話は出ますが、最初の1年の異常な雰囲気を思い出すと、次に似たような問題が起きてもまた沈黙する専門家は多くなると思います。
この問題に関しては何らかの対策が必要ですが、有効な対策は現時点では思いつかないので、記録だけは残しておきます。

科学者が放射能騒動に関わらなかった理由 ( 生物学 ) - ブログ版ききみみずきん - Yahoo!ブログ

というのが重い。意見を述べ、議論をすることすら許さない風潮は確かにあった。


ここ10年ちょっとだけを見ても、BSE問題、新型インフルエンザ問題、と似たような騒ぎが何度も起こっているが、残念ながら改善の兆しはない。風疹流行なんかも根は同じ。


上記の記事を大げさだと思う人がいるかもしれないが、当時から正確な情報発信を心がけ続けて下さった早野先生ですら、

科学者が放射能騒動に関わらなかった理由 (ブログ版ききみみずきん)http://bit.ly/13DUjKR (僕も思うところは色々ある.地下鉄のホームの端を歩かないように,皆に注意されたし,家族の事も随分心配した…)

ryugo hayano on Twitter: "科学者が放射能騒動に関わらなかった理由 (ブログ版ききみみずきん)http://t.co/UXK5ecup4d (僕も思うところは色々ある.地下鉄のホームの端を歩かないように,皆に注意されたし,家族の事も随分心配した…)"

と書いている。


上記の記事にすら難癖を付ける放射脳がいるという暗い面もあれば、それでも早野先生等を支援する人がいて、より正確な情報が少しずつとは言え広がっているという明るい面もある。

もちろん、ある説による「評価」(例:A先生によると、Bの危険度は中程度)があったとき、その説による「評価」の「評価」(例:A先生の研究は、間違いとは言えないが精度が低い)まで考えなくてはならなず、そのうえで実行動にどう反映させるか(例:A先生の説に従い内蔵を切除するか、薬による治療を続けるか)を更に考えなくてはならないというのは、小さくない知的負荷がかかる。色々あってテンパった時にゼロイチの単純な世界に逃げ込みたくなる気持ちも分からなくはないし、ある程度はやむを得ない。が、それを肯定してはやはりダメ。


少しでも暗黒面を退け、明るい面を広げていきたい。