- 作者: 早野龍五,糸井重里
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2015/05/01
- メディア: Kindle版
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早野先生に糸井重里氏が色々尋ねる形式で、分かりやすく説明している。
早野先生の経験(誰も知らなかった中国の核実験の放射性物質を検出した経験)や責任感(学部のスケジュールを決める立場)といったものが、原発事故だけではなくその回りにも目を配ることができた理由なんだなというのが分かる。
ベビースキャンを「科学的には必要ない」と言い切り、その上で「コミュニケーションツールなんだ」と喝破し、そのために時間とお金をかけるというのもやはり早野先生でないと、難しかったのだろう。
早野先生の後書きにこんな記載がある
ぼくらのコミュニケーション能力がもっとも発揮されるのは、専門家を説得するときなんです。
(中略)
「混乱した状態から、より真実に近い状態と思える方に向かって、手続きを踏んでいく」というサイエンスとしての考え方を、一般の人達に理解してもらうのは、とても難しいと知ったのです。
そうだよなあ、と。
そして、本を作った人にこういう言い方をするのは失礼ではあるのだけれど、糸井氏は、たぶん分かってないだろうなとも感じた。(漠然とした感想なので、実はちゃんと理解しているのかもしれない。その場合は、申し訳ない)
実は、早野先生はこの一連の活動の最中に「身の危険を感じた」ということを別のところで書いている。本書には収録されていないが、糸井氏との対談でも
あと、ホームの端は歩かないほうがいいですよとか、家族がどこにいるかあんまり言わないほうがいいですよとか、そういう真剣なアドバイスをしてくださる方も大勢いらっしゃいました。
早野龍五さんが照らしてくれた地図。 - ほぼ日刊イトイ新聞
と書いている。
まあ、ここまで本書に書くと脅しっぽくなるから止めたのだろうけれど。