k-takahashi's blog

個人雑記用

アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記2 アル中病棟

失踪日記』の続編。8年かかって続編が登場したことになる。
内容は、『失踪日記』のラストにあった「入院」の続きで、入院から退院までの様子を描いている。一応、事実をもとに構成したフィクションという位置づけだけど、基本的には実エピソードなんだろうな。


そういうエピソード、病気の実態、治療の実情、などが、賞賛するでも否定するでもなく、「興味深いもの」として描かれている。
とはいえ、現実の厳しさは繰り返し語られる。特に厳しいのが「アル中はなかなか治らない」という事実である。アルコールに痛めつけられた内臓が治らないということだけでなく、アルコール依存症という病気が治らない。入院して、治療して、大丈夫そうだと思って退院しても1年後には80%が飲酒してしまっているそうだ。

アル中の人はアルコールが自分の生活・人生の中心にある。だから、アル中から脱するにはアルコールで無い何かをここに持ってこないと、逆戻りとなる。アル中でない人だって、そう簡単にそういうものは見つからない。治療が難しいわけだ。



これが、吾妻風のタッチでマンガとして描かれているというのも、ある意味シュール。
前作と比べると、活動範囲が狭く対象期間が短いことや文字が多いこともあって居心地の悪さは強くなったかもしれない。
前作だって悲惨な話なのだが、基本的に一番悲惨なのが本人で、その本人が意図的に笑いに走っていた。だが、今回は患者が他にもたくさんいるのである。


私は、非常に興味深く読ませてもらった。アル中というものを理解する一助になるのは間違いないが、どういう風に薦めればいいのかは、ちょっと判断に迷うところ。