k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2014年1月号

軍事研究 2014年 01月号 [雑誌]

軍事研究 2014年 01月号 [雑誌]

あ、メモを上げ忘れてた。

北方領土」は永遠にロシアのものか(小泉悠)

この間に北方領土の軍事力がどの程度近代化されたのか(あるいはされていないのか)を掘り下げてみたい。
(p.28)

島内に生コン工場がないことが、施設建設上のネックに(今は)なっているそうだ。

各種装備について、その意図も含めて書かれている。
バスチョンという地対艦ミサイルの配備が検討されており、この射程が300km。つまり、着上陸対策ではなく、各種海峡を封鎖する目的と考えられる。(但し、捜索の面が不充分というのが実情)
さらには、将来の課題として北極海問題(対米、対中)もあるとのこと。

自民党は「集団的自衛権」を誤解している(福好昌治)

集団的自衛権について統一された定義はなく、論者によって定義が異なる。これが集団的自衛権を巡る論議を混乱させる一因となっている。(p.56)

ということで、言葉の定義とそこから導かれる現状の問題への解釈が書かれている。無理な解釈をしなくてもいいのではないか、という論のようだ。
説明としては分かるのだが、この問題については「9条を使ったイチャモン」が延々と繰り返されてきた経緯があるので、現実解としてはどうなんだろうな、とも思う。

無人攻撃機』が醸成する反米感情(黒井文太郎)

いわゆる誤爆問題の解説。米軍自体が現地の民間人への配慮が足りないのではないかという話。
ちょっと根拠が弱いかなとも思うが、重要な視点。

世界初の人型ロボット競技会(阿部拓磨)

シャフトが1位通過したことは既に報道されているけれど、DARPAのロボットチャレンジについての解説。

参加者のなかに日本で大地震が発生し、大規模な原発事故が発生した事実を知らない者や、津波に押し流される街の映像を一度も見たことのない人は存在しないだろう。(p.90)

にも関わらず日本からの参加が少ないのは、もちろんDARPA絡みだということもあるけれど、残念な限り。

『実力世界一』に返り咲いた海上自衛隊(文谷数重)

湾岸戦争後の時点で、海自は欧米に大きく後れを取っていた。最大の理由が掃海に重きを置きすぎていて掃討に対応できていなかったこと。
記事では、掃海と掃討の違いを解説している。

感応機雷対策として、感応掃海に交代する形で登場したのが掃討である。掃討は、水中にある機雷を捜索し、破壊するという方法を指す。具体的には、ソーナーと処分器材を用いる手段である。
掃討が優れている点は、感応形式やロジックを全て無視できる点である。どのようなタイプの機雷であれ、現物を破壊してしまえばその脅威は取り除くことができる。(p.109)

ソナーの性能向上が掃討を可能にしたということかな。


なお、同号の落合蔲氏の『ペルシャ椀掃海回想録』には、掃海・掃討の両方を実施した旨の記載がある。

ペルシャ湾掃海回想録(5)(落合蔲)

こちらには、生々しい話が色々書かれている。

掃海作業中は職来示の人身被害を最小限にするために、船室内への立ち入りを禁止していた。そのため当直は二時間ずつの三交代制としていたが、非番直員の休憩場所や待機場所は露天甲板とし、昼食も朝早く出航前に作った弁当を、真夏の太陽が照りつける露天甲板で摂っていた。(pp.150-151)

188日の派遣期間中、511名の隊員が何らかの理由で医官の診断を受けた人数の早計は1784名に達した。単純に計算しても511名の隊員が何らかの理由で一ヶ月に一回ドクターのお世話になったということになる。(p.157)

掃海作業が始まった頃から患者数も「ドン」と増加し、しかもそのカルテの内容もストレスが原因と思われる胃炎、胃潰瘍、呼吸器系、循環器系等といった疾患が急激に増加した。(p.157)

装備だけでは、対機雷戦はできない。

地球を監視する巨大な電子偵察機部隊(石川潤一)

米空軍のISR(情報監視偵察)機、特殊作戦機、捜索救難機についてのまとめ。
JointStarsやAWACSグローバルホークなどの機体と運用形態について書かれている。対北朝鮮などを見ていると分かるが、必要に応じて派遣されたりするが、どこの基地でどんな部隊が運用されているかも記載されている。(まあ、こんな配備先情報はいつ変わるか分からないけれど、記事記載時の情報ということで)

アグスタウエストランドは雄飛する(青木謙知

欧州を代表するヘリコプターメーカーアグスタウエストランド社の紹介記事。

2012年の総売上の中で顧客支援および訓練は三分の一強の36%を占めているのである。(p.214)

また、同社は「ミックスフリート」という戦略も進めている。これは製品群をシリーズ化して共通性を高め、効率化を図ろうというもの。


さらに、AW609というティルトローターも開発している。民間向けということで認証にむけての作業も進めている。(飛行機とヘリコプターのどちらに準拠するかなどを調整しているそうだ。法令や規制が異なるためだそうだ)

グラスコクピットと液晶ディスプレイ(井上孝司)

戦闘機で用いられているディスプレイについての解説。

外光が射し込んでも視認性を損ねないように高い輝度が求められる一方で、夜間の運用を考慮すると、極めて低い輝度も求められる(p.226)

あとは、メーカーごとの細かなポリシーの違い(スイッチの配置とかメーカーによって癖が違う。例えば、ボーイングはドラッグ可能だけれど、ロッキードはドラッグ不可、とか)