k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームジャーナル 51号

ゲームジャーナル51号 それぞれの関ヶ原/武田遺領争奪戦争

ゲームジャーナル51号 それぞれの関ヶ原/武田遺領争奪戦争

付録ゲームは『それぞれの関ヶ原』。
「小早川が付いた方が勝ち」という関ヶ原の小早川問題。これは、「0シリーズ関ヶ原」という冗談ゲーム*1までできているほどだが、本作は

二人のプレイヤーが「小早川」「吉川」「島津」「長宗我部」の中からそれぞれ一つを受け持ち、合戦の推移を眺めながら東軍に加勢するか西軍につくかを判断します。

という、正体隠匿系の方法論を取り込んでいる。悲喜こもごもは松田大秀先生のマンガで堪能できます。


記事では、高梨先生が1988年に書いた「日本史ウォーゲームの課題」が解消したかを語る座談会記事が面白かった。
出席者は、ふ〜ら〜中村、高梨俊一、近藤友樹、大尉、古穂俊郎、天津老師、望月学(敬称略)。
1.日本史ゲームに対する期待と現実の日本史ゲームとのギャップ(知識の大部分が個人の行動に関する「事実」つまりいわゆる「エピソード」だ)
2.全くタイプの違うエピソードの再現(陰険な外交交渉と、大谷隊や島津隊の奮戦などの少数だが強力な部隊の奮戦という、まったくタイプの違うエピソードを同時に一つのゲームで表現する)
3.一個一個のユニット毎の独自の利害関係(内戦のような、極端な言い方をすれば「一個一個のユニット毎に独自の利害関係がある」情勢は、2プレイヤーゲームはもとよりマルチプレイヤーゲームにおいてもルール的に処理しにくい状況といえよう)
というのが四半世紀前に高梨先生が記事で提出した課題。
市場(ユーザの意識)の変化、デザイン技術の進化、でかなり解消したという結論なのだけれど、詳細は記事を参照。
ゲームとしては、「信長最大の危機」「太平記」が重要。システムとしては、カードドリブンというかカードの導入が大きくこの辺の問題を解消したということでいいのかな。


笑ったところを2つほど。

少なくとも今は、「朝鮮戦争」のゲームを出そうが、「文禄慶長の役」のゲームを出そうが、朝○新聞にバッシング記事が載ったり、出版社に苦情がくるようなことはないですよね。
(p.38)

このあと、「実は文禄朝鮮の役について、韓国の人から抗議のお便りが」という話題が続くがオチは本文で。

例えば「アップ・フロント」で、一歩も動いていないのに「鉄条網」カードが付けられて「お前移動マイナス1ね」と言われたときに「動いていないのに鉄条網をつけるとは、黒魔術を使うのかお前は」とか言う文句がよく出るんだけれども、今の時代だったら、これはもっと上手いエピソードとしてのタイトルが付けば、同じ「移動マイナス1」のカードが付けられても文句が出ないということに、デザイナーも気がついたということがあると思います。
(p.40)

で、そのあとにカードはカードで大変だ、という話題が続く。

*1:関連記事はこちら