k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2014年11月号

400号記念。特集は人体大図鑑。
消化系、循環系、皮膚と骨格、感覚器と脳、といった感じでいつもように豊富なイラストで解説。病気の所の写真は、人によってはちょっと苦手に感じるかも。


特に新しい話はない、と言いたいところだけれど人工心臓のインタビュー(「ジャービック7」の開発者のロバート・ジャービック博士と心臓外科医の中好文教授)は面白かった。
電源ケーブルを耳の後ろから出すことで感染症を低減できるが手術の手間は増えるとか、補助人工心臓の自動制御を止めて患者さんに直接操作させたほうがうまく制御できるとか。


あとは私も勘違いしていた話が一つ。

「舌の先では甘み、側面では酸味、そして根本付近では苦みを感じる」といった説を耳にしたことはないだろうか。しかし実は、この“味覚地図”の捉え方は正確ではない。
たとえば、舌の先端や奥よりも側面後方の方が、より低い濃度の酸味物質を検出できる傾向がある、と報告されている。しかし舌の側面後方は、酸味物資を検出できる下限より100倍胃異常も低い濃度の苦み物質も検知できる。
実際には、舌は基本的にどの部分でも、1苦み、2酸味、3甘みもしくは塩味の順に敏感である。
(p.94)

子供の頃、スポイトで砂糖水を垂らす実験をやって、ふーんと思ったのだが、あれは気のせいだったんだろうか。
ちなみに、味蕾は喉にもあり、これが「のどごし」に関わっているそうです。

『現代の錬金術 新材料を作り出せ』(pp.120-133)

これも面白かった。2004年に物質科学者達が「箱根会議」で「元素戦略」を提案。資源問題を元素科学で解決しようという提案。これがあったから、2010年の中共の嫌がらせに対抗できたとも言える。
レアメタルを標榜しつつ、その根幹にはしっかり物質科学の研究があるというもので、「ジスプロシウムを使わないネオジム磁石」、「IGZO」、「割れないセラミックス」などがインタビュー付きで紹介されている。
また、JST元素戦略の課題一覧が研究者名とセットで掲載されているのもよい。

パスカルの足跡を辿る(pp.136-141)

水谷編集長の記事。有名なパスカルの気圧の実験(水銀柱をもって、山に登ったり、塔に登ったりした)の足跡を辿るため、自作の気圧計を持ってフランスに行ったという記事。
サンジャック塔に登ったときには

こんなに苦しい階段を体が弱かったはずのパスカルが本当に重い水銀気圧計をもって登ったのだろうか、とちょっと疑問に思えるほどでした。(p.140)

という感想も。