k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2014年12月号

軍事研究 2014年 12月号 [雑誌]

軍事研究 2014年 12月号 [雑誌]

『ユカワ・ハルナ』とは何者か!?(阿部琢磨)

イスラム国ではなく、PMCについての記事。
PMCの現実についての解説で、相当に厳しい世界であることが書かれている。
なお、2006年にフランス外人部隊をテーマにした本が出たことで、日本人希望者が急増したが、

そうした安易な同期は長続きせず、大量の日本人が入隊しては脱走するという事態が繰り返された結果、日本人入隊者へのイメージは急落、部隊内の日本人兵は肩身の狭い思いを強いられることとなった。(p.38)

だそうです。
イスラム国については、『「イスラム国」はイスラム法に適うのか!?』(黒井文太郎)という記事に解説がある)

ヤキマ初登場!陸自10式戦車の実力(芦川淳)

こちらは、米国での演習の紹介記事。
ヤキマに初めて陸自が来た頃は「装備品の最大性能発揮」が目的だったが、「諸職種協働」(連隊での組織的活動)、日米共同訓練、と進歩してきているそうだ。


今年の「雷神2014」には、第12旅団第13普通科連隊に第1師団第1戦車大隊の10式戦車が加わる形で参加している。芦川氏は実際の10式の訓練を見て、給油や弾薬搭載作業が効率化していることに感心している。

東シナ海上空、警戒監視能力を強化(竹内修)

先週のニュースでは「E-2Dに内定」と出ていたが、この記事の時点では、737AEW&CとE-2Dが選考中ということで、両機の紹介を行っている記事。
737は機体が大きく、MESA(Multirole Electronically Steered Antenna)というレーダーを搭載している。
E-2Dは搭載レーダーがAPY-9(従来使われていなかったUHF帯を使用するため、既存のステルス機を発見できる可能性が上がるそうだ)に換装されている。
比較では、能力的には737に余力があり、E-2Cの稼働率の悪さも問題だが、E-2Dは共同交戦能力を持ち、更に今後の能力向上も米軍に合わせて行える長所がある、となっている。

航空自衛隊「警戒航空隊」とはなにか(石川潤一)

こちらは、「警戒航空隊」という組織と機体(E-2C, E-767)の解説記事。
きっかけは言わずと知れた「ミグ25」事件(1976年)。現時点で、E-2Cが13機、E-767が4機、在籍している。
面白かったのがE-767のロトドームの整備の話。

整備点検の際の取り外しには大型の機材が必要なのか質問してみた。しかし、実際は厚みが約二mもあるため、整備員が中に入って作業できるとのこと。(p.92)

防衛白書」が脅威と見なす中国の海上戦力(多田智彦)

カタログっぽい感じで、中国海軍の船と装備についてまとめている記事。

WORLD・IN・FOCUS(147)(菊池雅之)

海保の記事なんだけれど、今年は五月の観閲式が中止になっており、その理由が「式典に巡視船を出す余裕が完全になくなってしまった」(p.118)というのがなんとも。

空の防人回想録(8) 空幕防衛班『防衛灯台の灯火となれ』(鈴木昭雄)

空幕防衛班についての回想録。政治折衝の苦労が書かれている。とにかく、説明の時に突っ込まれないように徹底的に準備をする様子が記されている。
また、雫石事故がこの時期にあたり、そのことも書かれている。幾つか引用。

世評「自衛隊機が全日空機に衝突した」となっていますが、直後にもある人物が私に語りましたが事実は逆で、優速の「ボーイング727」が「F-86F」にほぼ真後ろから追突したと聞いております。(p.153)

これからわれわれがやらなければならないことは、この長く厳しい裁判を戦い抜くための費用を集める募金活動と、空の世界を知らない弁護団を支える技術的支援体制を作ることである(p.154)

以前、ブルーインパルスの本を読んだときにも書かれていたが、戦闘機操縦という技術の特性、軍隊という組織の特性を説明するのは本当に大変そうだ。

ロシア軍秋季大演習「ヴォストーク2014」(小泉悠)

5.5万人、装甲車両4000両、航空機632機、艦船84隻が参加する巨大演習「ヴォストーク2014」の解説記事。
大規模国家紛争を想定した演習で航空機を多用した戦域間の機動や精密攻撃力が実証され、かなり物騒な演習になっていたようだ。実際設定は、北方領土を巡って日本との軍事衝突が発生し、というものだったらしい。

ここが気になる!中国兵器(航空機編)(井上孝司)

最近記事が続いている、井上孝司氏による中国軍兵器の解説記事。幾つか引用。
Y-20輸送機については、

南シナ海島嶼を空から一気に制圧するような場面を考えると、整備状態の良くない飛行場でどの程度まで運用できるのかが問題になる。つまり、短距離離着陸性能と不整地離着陸性能がどの程度の水準なのか、という話だ。(p.232)

J-31については、誰が買うんだ?という話から、

「J-31は輸出用」という言説には、どうも納得しがたいものがある。自国で採用するつもりだが、それで脅威論が持ち上がっては具合が悪いという考えの下、煙幕を張るために「輸出用」と言い逃れている可能性も考えてみてよいのではないだろうか。(p.238)