k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2015年3月号

色と光の科学

特集は色について。
フェルメールの青、柿右衛門の赤、ルビーとサファイアの赤と青、あたりの紹介から始まり、「退色」とは何か(インク分子が紫外線により破壊される現象)、色の3原色と光の3原色の関係。

色見本とかわざわざ付けてあるのも面白い。(金や銀は特殊インクが必要) あと、黒インクが必要な理由も書いてある(透過性を低くしないと黒く見えない。シアン・マゼンダ・イエローを混ぜても透過率が高いので黒く見えない)

人の目が色を検知する仕組みも解説してあって、

赤錐体・緑錐体・青錐体という呼び方は、本質的な誤解を与えます。各錐体が弾独で色の知覚を生み出すわけではなく、2種類の錐体の活動を比較することが、色覚の最も基本的な仕組みなのです。
(p.89)

L錐体(いわゆる赤錐体)とM錐体(いわゆる緑錐体)の和と差を計算することで、赤緑軸と白黒軸のどの辺にあるかを検知し、S錐体(いわゆる青錐体)とL+Mの差を計算して青黄軸のどの辺にあるかを検知する仕組みになっている。この仕組みは知らなかった。
ちなみに、波長の解像度は平均で1〜2ナノメートルだそうだ。

短信

喫煙の影響が女性よりも男性に大きい理由は、喫煙によりY染色体の欠損が怒るからではないか、という仮説が書かれていた(p.6)。スウェーデンのドゥマンスキ博士らの報告。


他にもガン関係があり、大腸癌の転移を促進するのは大腸癌細胞内にあるTrioといいうタンパク質にリン酸基が付くことによるという説(p.10)。これで転移予測や薬剤研究につながるそうだ。
ヘルペスウイルスを使った癌のウイルス療法のことも書かれていて(p.11)、癌細胞内でだけ増殖するウイルスを使って癌細胞を破壊するだけでなく、周囲の癌細胞への免疫の働きを強くする効果もあったそうだ。

一般相対性理論100年

そうか、1915年だから今年で100年か。
発表当時は、実用化どころか検証可能かどうか懸念されていたというのだから、技術の進歩はたいしたものだ。

タコ

体重に対する脳の重さの割合では、魚類や爬虫類よりも上だとか。タコの知性化というのは、それほど突飛ではないようだ。
あと、皮膚の色を変えるのは知っていたが「タコの目には色彩を区別する能力は無い」というのは知らなかった。じゃあ、どうやって色を調整するのかというとそこはまだ分かっていないそうで。

冬の北海道

フロストフラワーのアップとか、凍結した湖に閉じ込められた気泡とか、屈斜路湖御神渡りとか。
特に「氷の気泡」が面白かった。これ実物だとどんな印象になるんだろう。

細胞内の品質管理

2014年のラスカー賞を受賞した森和俊教授の研究は、細胞内のタンパク質の品質管理の仕組み。小胞体の中に3つの検出器があり、修正機能を持つシャペロンを増やすものもあれば、不良品を廃棄するものもある。
この検出器(眼)の異常は病気と関連しているのだけれど、治療に活かすのは大変なのだそうだ。
あと森教授が研究を始めた頃は、細胞内での情報交換というコンセプトが新しいものだったというのも面白い。当時は細胞間の情報伝達がほとんどだった。

水谷編集長の宇宙工房

毎回、自分でできる実験を色々紹介しているページだったけれど、残念ながら今回で最終回。今回は磁石を使ったモーター(ファラデーのコマ)。
中学生の科学クラブなんかに調度良さそうなネタが多かった。