- 出版社/メーカー: ジャパン・ミリタリー・レビュー
- 発売日: 2016/02/10
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新編『陸上総隊』のあるべき姿(磯部晃一)
陸上総隊はどうあるべきか、の解説論文。
陸上部隊という性格上、地域に密着して活動する必要がある。が、一方で、全国的視点で統制・計画するところが弱くなりがち。それが「陸上総隊」だという捉え方。他の組織が陸自にコンタクトする差異の統一窓口でもある。また、いわゆる島嶼防衛については、従来の陸上の観点よりも格段に「素早い」対応が求められる。
磯部氏は「今後、常設の統合司令官・司令部を創設すべきか否かといった議論が起こることは容易に想像できる」(p.41)としている。
2016年、地球に戦争の火種はいくつあるか(黒井文太郎)
黒井氏の分析。シリア内戦、IS問題、次がウクライナ。どさくさ狙いの中国。といった概要。
中露両国や北朝鮮などが「オバマのうちに」と色々やらかす可能性が2016年には高い。
中国H-6K爆撃機、在日米軍を完全包囲(田中三郎)
中国空軍のH-6Kに長距離巡航ミサイルCJ-10を搭載し、これを永暑島やスピ礁の滑走路から運用する方針が進んでおり、実際2015年にはH-6Kが西太平洋で訓練を繰り返している。
グアムを攻撃できる体制が整ったということになる。
日本列島を越え太平洋を目指す(多田智彦)
中国海軍の潜水艦をリストアップして紹介する記事。
通常型(明、宋、キロ、元、清)、攻撃型原潜(漢、商、095型)、弾道ミサイル原潜(晋、唐)。
ロシア!シリアを絨毯爆撃(石川潤一)
シリア攻撃に参加しているバックファイア(Tu-22M)、ベア(Tu-95MS)、ブラックジャック(Tu-160)の3機種の解説記事。スペックとシリアでの運用の説明。
ボーイングKC-46Aペガサス(青木謙知)
防衛省が調達予定の空中給油・輸送機KC-46Aペガサスの解説記事。
開発が遅れていたが一応2016年に初飛行の予定。記事は空中給油機の歴史や使い方の解説をしている。速度の速いジェット機に給油しようと思うと、給油機にも相応のスピードが求められる。
輸送艦隊と新たな『遠征艦(E)』の出現(軍事情報研究会)
米海軍の輸送艦隊の解説記事。米軍のMSC(軍事海上輸送コマンド)はちょこちょこ組織をいじることで知られており、今回は昨年行われた艦級の名称変更に従っている。遠征高速輸送艦(EPE)、遠征積み替えドック艦(ESD)、遠征機動基地艦(ESB)の3種類。なお、これらの船は揚陸任務ではなく、より後方から支援をする任務を実施する。
やたらでかい船が並んでいて、感心するやら、防御大丈夫なのかと心配になったりもする。
空の防人回想録(23)(鈴木昭雄)
政府専用機B-747を自衛隊が運用する件。平成4年に運用試験が始まったのだが、ここでも一悶着。総理府にやらせろとか横やりがはいったのに反論したり、それでも専任部隊の配置は運輸省が「羽田は運輸省のもの」と言い張ったので千歳になったとか。
平成3年の韓国訪問の際には、韓国空軍士官学校卒業式に出席している。
ロシアの軍事情勢2015-2016(小泉悠)
ロシアの軍事支出、装備調達、国防政策についての分析記事。
予算は、経済縮小で一旦削られたが、11月の補正で約600億ルーブル増加されている。2016年も当然増加なのだが、原油価格下落の影響がどうなるかはまだ不明。
装備は、更新が継続している。新型偵察衛星の打ち上げも続いているし、無人偵察機は4年で10倍に増加(ただし、大半は小型機)。2016年も戦略ロケット部隊が戦闘配備される予定。ヘリコプターも1年で120機以上増加見込み(これは、エンジンの代替生産の目処がたったことを意味する)。クリミアでの徴兵も2015年に実施しており、支配の既成事実化が着々と進んでいる。
戦艦・空母の主機「蒸気タービン」(井上孝司)
先日読んだ海自の艦船本にも何度もボイラーの話が出てきていたが、あそこで書いてあったことが色々と腑に落ちた記事。ありがたい。
なお、蒸気機関の出番が減った理由は「場所を取る」「始動性が悪い」だそうです。
ついに始まった「空の軍事利用」(田村尚也)
用兵思想史連載の第7回。気球の軍事利用はフランス革命時、飛行機の軍事利用の最初は1908年のライト・ミリタリー・フライヤー。
第一次大戦ではよく知られているとおり塹壕戦が発生。こうなると騎兵では偵察ができず、これが航空偵察を推進した理由の一つ。また、同じく塹壕戦で重要になった砲兵との協力も必須だった。
1915年には、独軍のヴェルダン攻勢の際に、航空部隊でスクリーンを張り敵偵察機を封殺しようとした。空のコントロールを利用して陸をコントロールしようとしたのである。1916年には戦闘機の集中運用(独軍のオズヴァルト・ベルケの活躍)が始まった。
近接支援については、1917年に近接航空支援の特別訓練を積んだ「地上攻撃飛行中隊」を投入したのが本格的な活用の最初。