よくわかる人工知能 最先端の人だけが知っているディープラーニングのひみつ
- 作者: 清水亮
- 出版社/メーカー: 角川アスキー総合研究所
- 発売日: 2016/10/17
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログ (17件) を見る
昨年のAI関連本のベストセラーになった『人工知能は人間を越えるか』*1から1年半たって、「じゃあ、いまどうなっているの?」という人に向いていると思う。実際インタビューの最初は松尾豊先生。
他に、岡島博司、村上真奈、田島玲、前野隆司、満倉靖恵、山川宏、齋藤元章、といった面々が続く。
インタビュー各人の関心に近いところを中心に語っているので、内容は多岐に亘るが、インタビュー記事の途中に解説的な文書が入っているので、インタビュー単独よりは分かりやすくなっていると思う。この構成を取りたかったので、ウェブ連載ではなく書籍に形にしたんだろう。
先端に近い部分の話が中心なのと、あくまでもインタビューということなので、話半分くらいに聞くとよいのだろうが、そういう細かいことを言わずに、「ほお、ほお」と楽しむのが良いと思う。
あと、一冊目ではなく、例えば上述の松尾先生の本とかを読んでから、本書を開く方が楽しく読めるだろう。
一つ、なるほどと思ったところを引用。
いまディープラーニングは後段を担当してて、ある意味で前段を人間がやっているとすると、実はその前段こそがディープラーニングを回すべき箇所じゃないのかと思うわけです。ノイズをどこまでどうやって取ろうとか、いろんな前提条件でどう処理すべきか、あるいはどういうゴールを与えるのか。そういう所も含めて、極端な話、報酬関数をどう設定するかまで、人間がやるよりもAIにやらせた方が効率がよいはずなのです。(No.3345)
言われてみればごもっとも。そして、
そのためにいまなにが足りないかというと、圧倒的に処理能力が足りない、ということになります。(No.3345)
パソコンの生まれる前、コンピュータが電算室に鎮座していた頃、人間はコンピュータの都合に合わせて仕事をしていた。それはコンピュータというリソースが貴重だったから。その貴重なコンピュータのパワーを充分に働かせるためには、人間が合わせてあげる必要があった(その方がトータルの効率が良かったから)。
いま、ディープラーニングをするにも同じで、処理能力が足りないから、人間ができる部分は人間がやってあげている、という指摘は、なるほどと思った。
*1: