k-takahashi's blog

個人雑記用

よくわかる人工知能 〜先端インタビュー集

最近、とみに話題のディープラーニング。それに関連したインタビュー集。
昨年のAI関連本のベストセラーになった『人工知能は人間を越えるか』*1から1年半たって、「じゃあ、いまどうなっているの?」という人に向いていると思う。実際インタビューの最初は松尾豊先生。


他に、岡島博司、村上真奈、田島玲、前野隆司、満倉靖恵、山川宏、齋藤元章、といった面々が続く。
インタビュー各人の関心に近いところを中心に語っているので、内容は多岐に亘るが、インタビュー記事の途中に解説的な文書が入っているので、インタビュー単独よりは分かりやすくなっていると思う。この構成を取りたかったので、ウェブ連載ではなく書籍に形にしたんだろう。
先端に近い部分の話が中心なのと、あくまでもインタビューということなので、話半分くらいに聞くとよいのだろうが、そういう細かいことを言わずに、「ほお、ほお」と楽しむのが良いと思う。

あと、一冊目ではなく、例えば上述の松尾先生の本とかを読んでから、本書を開く方が楽しく読めるだろう。


一つ、なるほどと思ったところを引用。

いまディープラーニングは後段を担当してて、ある意味で前段を人間がやっているとすると、実はその前段こそがディープラーニングを回すべき箇所じゃないのかと思うわけです。ノイズをどこまでどうやって取ろうとか、いろんな前提条件でどう処理すべきか、あるいはどういうゴールを与えるのか。そういう所も含めて、極端な話、報酬関数をどう設定するかまで、人間がやるよりもAIにやらせた方が効率がよいはずなのです。(No.3345)

言われてみればごもっとも。そして、

そのためにいまなにが足りないかというと、圧倒的に処理能力が足りない、ということになります。(No.3345)

パソコンの生まれる前、コンピュータが電算室に鎮座していた頃、人間はコンピュータの都合に合わせて仕事をしていた。それはコンピュータというリソースが貴重だったから。その貴重なコンピュータのパワーを充分に働かせるためには、人間が合わせてあげる必要があった(その方がトータルの効率が良かったから)。

いま、ディープラーニングをするにも同じで、処理能力が足りないから、人間ができる部分は人間がやってあげている、という指摘は、なるほどと思った。