k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2017年2月号

軍事研究 2017年 02 月号 [雑誌]

軍事研究 2017年 02 月号 [雑誌]

無人機特集号、という感じの一冊。

対テロ戦争で誕生した七千台の陸上ロボット軍団

カラーページの記事。7000台の内訳は公開されていないが、公開情報から推測はできる。当初は非正式型が急ぎ導入され、対テロ戦争で有用性が分かり増加、対テロ戦争は大幅縮小したが維持費が小さく有効性が実証されているため数は維持されている。
米陸軍のロボットは、兵士運搬型(バックパックに背負えるサイズ)、車両運搬型(主に地雷処理車)、自走移動型(運搬ロボ)、ロボット化装備品(現有装備に取り付ける)、に分類される。自走移動型は、輸送や戦闘支援に使う方向で研究開発が進んでいる。

中国の偵察/戦闘型航空無人機(宮脇俊幸)

中国軍の無人機の現状と展望についてのまとめ。米軍の無人機と比較する形の説明になっている。(搭載される精密誘導弾も)
脅威が現実化するのが2020年頃からという予想。無人・有人両面で日本を圧倒する中国軍が防空体制の大きな脅威になる。

戦争を変えたプレデター/リーパー(青木謙知)

こちらはプレデター/リーパーの解説記事。現時点で攻撃任務を遂行している無人機はこれだけ。
ヘルファイアミサイルの最初の戦果は2002年。同じ年にタリバンの陣地の攻撃に成功(それまで有人機の攻撃は失敗していたターゲット)したことで評価があがった。
現在ではアパッチとの連携可能なMQ-1Cも登場しているが、それ以上の武装UAVの計画は具体化していない。

世界の次世代軍用機開発プログラム(竹内修)

記事のメインは次世代機の話だが、西欧は攻撃型無人機にシフトすると分析しており、それは有人機では米中露に対抗できないという背景がある。

海の無人機、最新のUSV/UUV(多田智彦)

機雷対応が中心だが、偵察型もある。紹介されているのは、米国のシー・ハンター、WLD-1、CUSV、ナイフフィッシュ、レムス、ロシアのカニオン、フランスのコメット、ケイ・スター、アリスター、ローヴィング・バット、AUSS、シーエクスプローラー、ドイツのシーフォックス、英独のARCIMS、スウェーデンのダブル・イーグル、MuMNS、AUV62-MR、デンマークのダムディック、イギリスのタリスマン、アーチャーフィッシュ、イスラエルのプロテクターなど。数は多い。
ただカタログデータ中心でちょっと状況ははっきりせず。同号には文谷数重氏の記事もあり、UAVの方がいいんじゃね?という指摘もされている。

戦場の宅配便、無人輸送コンボイ(三鷹聡)

こちらは自動運転軍用コンボイのまとめ。2004年のグランドチャレンジのときは散々馬鹿にされたが、既に民生ではいつやるかという状況になっている。(人間をどう関与させるかの課題は残っている。これは軍用も民間用も同様)
軍用の場合は悪意を持った相手をどうするかという問題があり、例えばテロリストがよくやる子供の悪用とかは、そう簡単には解決しないだろう。
記事中で面白かったのが多脚の扱い。有名なBigDog含めて脚の数はあまり多くない。それは「自然淘汰の中で六本脚の大型陸上生物が存在しない」というのが根拠で、よって三本か四本だろうということになっている。

大胆予測、2017年「紛争」の構図(黒井文太郎)

実は記事のトップはこちら。2016年のまとめと17年の予想をまとめた記事。
戦闘が激しかったシリア、イラク、イエメン、小競り合いが続いたのがウクライナイ、リビア、アフガン他。他に、イスラムテロと南シナ海北朝鮮
2017年の予想は、アメリカが対外介入を基本的にしない方針、ロシアは安保理の無力化を通じて介入拡大という状態。よって各地の紛争は長引く方向だろうと予測している。

「軍事と鉄道」(1)(井上孝司)

さすが井上孝司氏という内容の記事。
軍事の都合で鉄道に影響した例というのが面白かった。線路の引き方を変えさせたり、戦時型機関車を作ったりしている。病客車というのもあり、病人輸送用なのだが「保護室」というのも設置されていた。

一陸上自衛官の回想(10) (松島悠佐)

阪神震災とPKO関連。
割とよく知られた話が中心だけれど、阪神震災対応のときに「車載無線機の盗難事件が散発し、犯人の捜査・割り出しまで実施しなければならなかった」(p.150)というのは、あの中で大変だったろうな。年度末を挟んだので、年度末の総点検が大変だったとか(p.152)。