k-takahashi's blog

個人雑記用

美少年美術史

 

美少年美術史: 禁じられた欲望の歴史 (ちくま学芸文庫)

美少年美術史: 禁じられた欲望の歴史 (ちくま学芸文庫)

 

 副題はちょっと大げさかな。西洋美術史の流れをみていくもので、ギリシャ時代に始まっていた嗜好が一旦キリスト教の都合で抑圧されていたけれど、聖書系のエピソードの中で色々な表現が続き、ルネサンスで復活。近代になって肖像画を経て風俗画が一般化したのでそこに全部集まるようになった、といったところ。

冒頭にダビンチの老人と青年のデッサンを置き、少年(青年)が重要なモチーフであることを指摘し、その上で歴史を説明していく。

 

ギリシャ的美少年は内面と容姿の両方が必要なので、筋肉質の青年が中心。なので、ミケランジェロダビデも「美少年」の枠に入ってくる。(たくましい若者というイメージ。そして、聖書の設定よりもミケランジェロ自身の趣味とギリシャ風とを優先)

 

 

クピド(キューピッド)の変遷が面白い。

元々はエロスの神で、最初の男女神を結んでいたが、ヴィーナスとマルスの息子となってヴィーナスの実行部隊となる。プシュケー騒動では美青年になるが、そのあとで幼児化が進む。その方が人気があったんだろう。この変遷の説明がないと、クピドの設定が意味不明なものになる。