k-takahashi's blog

個人雑記用

「ココロ」の経済学

 

 行動経済学の入門書。タイトルの「ココロ」は、一般的な行動経済学よりも、人間の心理(感情)の問題を広めに扱うということを示している。

 

第一章では、経済学という学問内での行動経済学の位置づけの変動(限定合理性の観点から色々騒がしかったサイモンが嚆矢となるが、受容されたのはカーネマンやセイラーら)を紹介する。

そのあと、カーネマンのプロスペクト理論の話(この話は数式あった方が分かりやすいと思うがなあ)、時間非整合性(現在性効果)のやっかいさ(人間なかなか整合性を取り入れられない)、センの「ケイパビリティ」「コミットメント」経済史的位置づけ、内的動機のやっかいさ(外的報酬による内的動機の減退、内的動機の持続性の弱さといった課題)、主観的確率のやっかいさ(加法性がみたされない、つまり分からない分が入ってしまう)など。

そのあと、実際に行動経済学を適用したことから分かる知見を紹介している。(電力料金のオプトイン/オプトアウトと節電効果の実験)。

 

最後に、「エビデンス経済学」として「ビッグデータ経済学」「実験経済学」「行動経済学」の3つを提唱している。昨今のCOVID-19対応では、「経済学者、なにやってんの?」と思うことが多いが、多分私が見えていないだけで色々やっているのだろう。いずれ紹介されたらきちんと読んでみたい。