k-takahashi's blog

個人雑記用

再装着の記憶

 

SF-RPG「エクリプス・フェイズ」の世界を題材にしたアンソロジー。内外から14作を収録している。

 

実のところRPGの資料として役に立つのは、小説ではなくコラムや補足記事の方。ゲームの紹介のために必要なのはスピコピのようなベタなリプレイ記事で、この手のSF小説ではないと思う。知性化タコが出てきますとか、異常な事件の調査に行きますとかなら説明に使いやすいけれど、込み入った話はその説明をしなくてはならないので手間がかかってしまう。

 

TRPGをベースにしたリプレイや小説は日本でも大量に供給されていて、本体よりも市場は大きかったりする。その多くは広く売れる商品を意識して作られていて、面白さや分かりやすさをきちんと意識している。クトゥルー系にしても、その大半が日本が舞台か日本人が登場するもの。世界かキャラかどちらかは分かりやすくしないと首をかしげる人が増えてしまう。

そういう意味で、本作はTRPGの資料としてはお薦めできない。SFファンがSF小説として楽しむことはできても、プレイの参考資料にこれ渡されても困るだろう。マスターの立場にしても、これはどのくらい普通(普通でない)のかを読みほどくのが難しい。最終的にはマスター裁量だとはいうものの、資料やシナリオとの距離感ぐらいはつかんでおきたいのですよ。

 

クトゥルーってその辺上手い距離感を作ることに成功したんだなと思う。