ニュートン 2010年08月号
Newton (ニュートン) 2010年 08月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2010/06/26
- メディア: 雑誌
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海流が起こる理由として、よく使うコリオリ力だけでなく、「エクマン輸送」(風が吹く方向とそれにより起こる海水の動きが90度ずれている。その海流の流れをエクマン輸送という。)の解説まで入っている。このエクマン輸送が何度も出てきていて、うまく頭に入っていく構成になっているのが良い。
これに、熱循環の話を入れて地球全体の大きな話を説明する。(よくある、ヨーロッパが緯度の割に暖かい理由とか)
ここまでの知識を使って、サンフランシスコの霧のでき方、赤道直下の海水温が周囲より低い理由、などを解説する。図の使い方とかいい感じ。
ダークバリオン
宇宙の大半はダークマター、ダークエネルギーと呼ばれるものだった、という話はよく耳にするが、そうではない普通の物質(バリオン)が、銀河近傍では理論値の半分くらいしか見つかっていなかったのだそうだ。これがダークバリオン。
その所在が分かったというニュース。宇宙の大規模構造に沿って希薄なガスとして存在しているという仮説があるが、それを裏付ける観測データが見つかったそうだ。
大気圏再突入
はやぶさの帰還の写真も記憶に新しいが、記事ではもう少し広い範囲を扱っている。ハヤブサが3000度50G、ソユーズが5G、シャトルが有翼の強みを活かして3Gという状況なのだが、その裏にある科学と技術。
まず、よくある誤解を解く部分から。空気との摩擦で熱くなるのではなく、空気が圧縮されて高温になりそれが機体に伝わるという話で、私も子供の頃は誤解していたし、今でも誤解している人は多いらしい。
耐熱の4パターン(ヒートシンク法、放射冷却法、アブレーション、強制冷却)を解説している。シャトルが放射冷却法、はやぶさやソユーズはアブレーション。
あとは、再突入のための軌道制御の難しさも説明。はやぶさがぎりぎりまで何を調整していたかの話ですね。
人工ゲノム
5月にクレイブ・ベンターのチームが発表した論文の概要解説も載っていた。
成功までには三つの壁があった。1.細胞からゲノムを取り出し別の細胞に移す、2.人工ゲノムを作り上げる、3.つくりあげた人工ゲノムを細胞に移す の3つだ。研究チームは、2007年に一つ目、2008年に二つ目の壁を、次々と乗り越えて成果を発表してきた。そして、今年5月21日付で科学雑誌『Science』電子版に今回の成果を発表した。(p.120)
へえ、と思ったのは次の部分。
研究者等の名前やメールアドレスが、塩基の並びに隠されているのだ。(p.120)
思わず、「ネタ!」と思ってしまった。