k-takahashi's blog

個人雑記用

Happy Academic Life 2006

人工知能学会20周年記念企画として作成されたゲーム。詳しい紹介はこちら。これをソロプレイしてみた。


キャッシュフローゲームを元に、管理対象を「お金」から「時間」に置き換えるというのが基本アイディア。そして、持っている時間から固定費(時間)を差し引いて、残りをどう使うかというのを管理する。もちろん、研究人生(大学人)のゲームなので、対象は研究関連に絞られている(若干のプライベートはあり)。学生の面倒を見たり、学会・学内活動をしたりしながら、残った時間を研究に回し業績を上げていくことになる。

研究には時間とお金が必要。お金は実績や人脈や地位を高めていくことで入手しやすくなるが、そのどれもが時間を費やさないと手に入らない。時間は優秀な学生やポスドクがいると実質的に増加するが、優秀な学生を集めるには学内発言力が必要だし、ポスドクを雇うには金がいる。そんな感じ。


これだけだと多人数ソロプレイゲームになってしまうが、ここで、「発表できる論文の数は有限」というシステムで縛りをいれている。論文は6系統5段階の計30ブロックに分かれている。あるブロックの研究をするには、その元になるような論文を発表していなくてはならない。そして、1ブロックの論文は3件までしか発表できない。一方、論文を書くには時間とお金が必要。つまり研究が遅れて他の人に先を越されると偉いことになるわけだ。


概ねきちんとまとまっていると思う。

時間管理がやや煩わしく、ここはボードゲーム・カードゲームのノウハウを入れればもっと簡単にできると思うが、どうも学習教材としての位置づけのためわざと残したような印象を受ける。これはよい。


2つほど疑問がある。

1つは、研究について。研究(に限らず全ての実績)が累積型で、一度獲得したポイントは原則として減らない(大学を変わった場合のみ、学内ポイントにリセットがかかる。変にリアルというか、なんと言うか)。
そして研究自体には難易度の差は無い。(単に時間とお金がかかるだけで、成功しやすいかどうかは全く変わらない。)

もう1つ(そして最大の疑問)は、お金の管理。資金ポイントは累積性なので、一旦お金を集めてしまえばその後はもう困らないというシステムになっている。これも作成レポートを見ると、プレイ時間短縮のための割り切りのようだが、かなり実情と乖離している。苦労という点で大きい部分なのだから、ここはきちんと残すべきではなかったか。ましてや、AIなんて分野なんだから、なおさらだろう。


色物的な題材だが、若手向け教材のスタートとしては合格点かな。学生が概ね役に立たないというのも変にリアルだ。^^;


ソロプレイだとかなり緩い感じのバランスだが、それこそ論文提出競争に巻き込まれるとしんどそうだ。