k-takahashi's blog

個人雑記用

輸送船入門 日英戦時輸送船ロジスティックスの戦い


第二次大戦時の日英米独の通商破壊戦を扱った1冊。


個々のトピックは結構興味深い(特に欧州終戦間際に撃沈されたドイツの輸送船の話は、確かにあまり目にしなかったものだ)。いわゆる「現場の目」というか、そういう視点からの紹介が多いのも臨場感を増して良い効果を出していると思う。


一方、ロジスティックスのレベルで考えると、個々のエピソードが全体の流れや問題意識とうまくかみ合っていない部分が多い。例えばムルマンスク船団のPQ18とPQ19の違いは、通商破壊戦を理解する大きなポイントとなる良い組み合わせだが、残念ながら、単に大きなトピックを並べたような印象を受けるエピソード紹介の方が多いように感じた。そういう本ではないのだ、と考えれば良いかもしれないが、タイトルに「ロジスティクス」と入っている以上そうもいかないだろう。


ところで、このジャンルで日米戦とくれば定番は「海上護衛戦*1」なのだが、なぜか言及されてもいなければ、参考文献にも挙げられていない。どういうことなんだろう。内容に異議があったとしても触れないのは変に思う。
 大西洋側の分析・紹介と比べて、太平洋側に弱さを感じる点も含めて、ちょっと不思議。

*1:

海上護衛戦 (学研M文庫)

海上護衛戦 (学研M文庫)