k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2007年8月号

Newton (ニュートン) 2007年 08月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2007年 08月号 [雑誌]

特集は地球温暖化。何がどう分かっていて、何が分かっていないか、何をどのように予測しているのか、を丁寧に解説している。IPCCの第4次報告に書かれている「1950年までの気候変化は、66%以上の確率で、火山噴火と太陽放射量の変化が原因だと言える。だが、20世紀半ば以降に観測された世界平均気温の上昇については、90%以上の確率で人間の活動に由来する温室効果ガスの増加が原因だと言える」の背景が分かるような記事。
一方、ミランコビッチ・サイクル(太陽放射の変化)やヒートアイランド現象(都市部の体感的な温暖化の原因は多分こちらが大きい)もきちんと説明し、その上で温暖化ガスの影響を説明している。
 スタンフォード大学スティーブン・シュナイダーのインタビューも載っている。無病誤診/有病誤診の説明もしっかりしており、無病誤診を冒すリスクは取るべきだという主張をしている。


 スピッツァー望遠鏡の写真も掲載されている。86ページの宇宙の巨大な目の写真(NGC7293を赤外線撮影したもの)は印象的。普通はhttp://www.astroarts.co.jp/news/2003/05/15helix/index-j.shtml にあるような写真なのだが、赤外線でとるとこんな感じになるらしい。


 他には、現在のCPUの熱密度(単位時間に発生する熱を面積で割った値)が原子炉表面並だとか(p.12)、大きさ0.65マイクロメートルもあるミミウィルスとか(あまりにも巨大なため、発見時には細菌と思われていた)。


 驚いたのは、光化学スモッグの記事。2007年5月8日、9日に光化学オキシダント注意報(光化学スモッグ注意報)が出ていたのだが、その原因は大きく3つと書かれている。一つは温暖化の影響、二つはVOCの比率増加によるオゾン濃度増加、三つ目が越境汚染。
 記事中では、国立環境研究所の大原利眞室長らのグループによる、中国東岸から流れ出たオゾンが日本を覆うというシミュレーション結果が紹介されている。実際の観測データを持つJAXAは、「出所は分からない」という慎重な言い方をしていたが、やはり中国発の可能性が高いということなのだろうか。まあ、いずれ原因は分かるのだろう。(中国発かVOC由来か、どちらが主原因か。解析技術は温暖化解析の技術が流用できる。)