k-takahashi's blog

個人雑記用

スタンダードRPGシステム

 ゲーマーズ・フィールド別冊の14号「特集スタンダードRPGシステム」を購入。

 “スタンダードRPGシステム”は、主にテーブルトークRPG(以下TRPG)と呼ばれるジャンルを中心に、標準化したシステム環境を共同で使用するというサービスの企画です。
 TRPGのゲーム制作は、創造性の高い、それ自体が十分目的となりうる活動です。
 ただし、そのために費やす人的エネルギーも膨大なものであり、必ずしも制作者にとって重要ではない部分まで制作を余儀なくされる場合があります。
 例えばゲームで使用するダイスロールによる判定などは、必ずしも創作性の高いものにこだわらなくてもかまわない、という制作者は実際にいるのではないかと思います。
 あるいは、自分が作りたいのは主に背景世界であり、その世界を表現するための最小限のルールさえ追加できるのであれば、既存のルールを使用できた方がよいと考える制作者もいるでしょう。
 そこで、ファーイースト・アミューズメント・リサーチでは、スタンダードRPGシステム(SRS)という、2006年8月に株式会社エンターブレインより発売のTRPG『アルシャードガイア』(ALG)に掲載したルールをベースに、「標準化したTRPG環境をユーザーに向けて提供し、共有するサービス」を行うことにしました。
 より遊びやすく、制作者として参加しやすい環境を皆様と共有したいと思います。

STANDARD R.P.G. SYSTEM

具体的なドキュメントもFEARのページからダウンロードできる。別冊の14号を買ったのは、具体的にどう使うかの記事が載っているからと聞いたから。それが「SRS攻略ガイド」。


 ということで読んでみましたが、ううむ。

 出だしは良いです。「とにかくデータを設計してプレイしてみる」「デザイナーは制作したいゲームの方向性が見えるはずだ」と始まり、本記事では3つの方向性を示している。「1.表現したい世界がある」「2.再現したいキャラクターがある」「3.使ってみたいルールがある」。原作付き系なら1か2だろうし、ルールを思いついたなら3だろう。 で、当然次に来るのは、それぞれの場合、どういう条件のときにどうSRSに載せるべきか、という解説のはずである。が、残念ながら、本記事では次に来るのはクラスのデータ(数字)調整の話である。

 記事では、ルール追加の解説もあるが、書かれているのはSRS内のルールの順序づけ(ゴールデンルール、コアルール、ブレイクスルー、シチュエーションルール、スポットルール)。この順序づけ自体は良い整理だと思うが、どんなときに何をいじるのかの指針が欲しいところ。

 最後は、テストと調整。ここは普通に書かれているが、SRSの話ではない。


 「より遊びやすく、制作者として参加しやすい環境を皆様と共有したいと思います。」という方針が、少なくともこの記事にはきちんと反映できていないように思う。ゲームを作ると言っても、自分(ごく親しい身内を含む)、コンベンションでGM、同人出版、コンテスト応募、商業出版、と色々なレベルがあるはず。SRSとしては、様々なレベルに適用できるということなのだろうが、ならばなおのことそれぞれのレベルで必要なことはきちんと区別してガイドするべき。そこがこの記事では不徹底だったと思う。


 80:20の法則はゲーム制作にも言えることで、その「労力80」の部分でできるだけ楽させてあげるのが「制作者として参加しやすい」環境の提供というもの。
 GURPSやD20なら、探せばたいていのものは見つかるから、「労力80」の部分を大幅に削減できる。大量のシナリオやシチュエーションが具体的な商品として提供されているので、参考になるものがみつかる可能性も高い。英語が中心という難点はあるが、ガイダンスやベスト・プラクティスも提供されている。それが「環境」なんだと思う。


 そう言う意味で、SRSはまだ環境になっていないけれど、当分続けるという意欲は充分に感じられるので、次の一冊に期待します。