k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲーム理論トレーニング

ゲーム理論トレーニング

ゲーム理論トレーニング

 ゲーム理論の入門書。Mini-Max戦略、混合戦略、囚人のジレンマ、ナッシュ解、パレート最適、あたりから社会意思決定論の一部(アローの一般可能性定理もちょこっとだけ出てきます)まで。あと経済関係の話題も少し。


 とにかく分かりやすくということを意識しているようで、混合戦略を「分かりにくいから」という理由で「確率戦略」と呼び代えています。こういうところは少々荒っぽく感じますが、分かりやすさのためだからいいか、と前半を読んでいるときには思っていました。しかし、この荒っぽさは、本書の後半に進むにしたがって目立つようになり、首をかしげるような記述が増えてきます。全体としては少々問題のある一冊になってしまっており、本書一冊で止まってしまうような読み方をする人には、あまりお薦めできない理由となっています。(間違っているというのとは少々違うのです。議論の荒っぽさが、おそらく誤解を招くであろう、ということを危惧します。)


 混合戦略の解説の部分で、「正確な予想が最高の結果をもたらすわけではない」というあたりを説明に入れるところは面白いと思ったのですけどね。とっつきは良いので、数冊読むうちの一冊目なら良いと思います。