- 作者: 酒井穣
- 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
- 発売日: 2008/02/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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中身はタイトル通りで、「課長とは何か」「課長の8つの基本スキル」「課長が巻き込まれる3つの非合理なゲーム」「避けることができない9つの問題」「課長のキャリア戦略」。課長とはいわゆるミドルのことで、上にも下にも繋がっている結節点。その結節点は何をしなくてはいけないのかを解説している。中身がどんなものかは、子飼先生のブログを御覧下さい。(http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50995105.html)
課長とこれから課長になる人をターゲットにして書かれており、実際、大企業なら、係長〜新任課長あたりが読むと一番得るところが大きいのではないかと思う。
それ以外の人が読んでも有用だと思う。大企業に限らず、早く出世したいと思っている若者も「これをこなせれば早く出世できる」チェックリストなので、ターゲットにできると思う。組織人必読でしょう。
それなりの企業で課長をやっている人なら、本書の内容のほとんどは再確認になると思うが、それでも幾つかは気づきがあると思う。私も4か所ほど「なるほど、そうだよなあ」と思った。(が、具体的に書くと社内事情がばれそうなので内緒)。
綺麗に分かりやすくまとまっており、網羅性も高い。類書が少ないにも拘わらずこの完成度ということは、著者がそうとうきちんと書き上げたということだろう。
網羅性について付け加えると、私の勤務先は一応大企業なのだが、そこで行われる課長向け研修というのが、きちんと押させるべき所は押さえているのだなというのも確認できた。但し、会社での研修は、本書ほど系統だってはいなかった。個々の項目はともかく全体を見通す筋みたいなものは、無かった。 そして、その全体の筋を一本通す部分こそが一番大事であり、それは本書ならきちんと書かれている。
個人的には、課長という職制は今度減っていくと思っている。但し、今の課長が担っている役割がなくなるわけではなく、それが分担して担われるようになると予想している。情報アクセスなどの権限のAuthorizationが、昔はピラミッド型組織に当てはめるしかなかったけれど、それがICTによって柔軟に運用できるようになっていくから、というのが理由。であれば、なおのこと「今課長がやっている仕事」を多くの人が理解しなくてはならないはずだ。
一つ違和感があったのが欧米流マネジメントの解説の部分。PMPとかを勉強していたときにも、著者が言うほどには、中間管理を軽んじているようには思わなかった。もちろん、私が日本流に翻案して解釈している面もあるだろうけれど、ちょっとそこは(説明のためとは言え)割り切りすぎのように感じた。