- 作者: 八代嘉美
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2008/07/15
- メディア: 新書
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前半の3分の2を使って、ES細胞とは何か、多様性・万能性とは何か、それはどのように制御されているのか、幹細胞の種類にはどのようなものがあるか、再生医療とは何か、などの基本的な知識を解説し、その後でiPS細胞がどのように作られ、現在の研究がどう進んでいるかの説明をしている。
前半の説明が丁寧なので、後半の話が分かりやすい。丁寧な解説がうまく生きている。
ドリーやプラナリアなどなら名前くらいは聞いたことのある人が多いと思う。それらが、iPSとどのように繋がるのかも本書を読めば把握することができる。iPS細胞ができたからと言って、ES細胞の研究が不要になったわけではない理由も分かる。 科学雑誌とかを定期的に読んでいる人だと新規の情報はあまりないと思うが、全体の流れが分かりやすいのが嬉しい。
個人的には、イモリの脱分化メカニズムをもうちょっと知りたかった。あと、テロメアやエピジェネティクスのという単語が出てこなかったのがちょっと面白かった。著者の好みなのか、そういう話はもう古いのかは分かりませんが。
ちなみに、
なお、後半になればなる程手綱が緩むのか、多少形ばかりの断りをいれつつ、ガンダム00からジェンダーSFまで段々と素人おいてきぼりな会話が横道として入ってきている。クラークやアジモフならともかく、わざわざイーガンを持ちだしてくるあたりは業が深いというべきか。本職から趣味に至る私がわからないたくさんの話題も含めて、著者の博学・衒学っぷりが良く出た本であった。
http://www.fortunerinn.org/blog/2008/07/ips%E7%B4%B0%E8%83%9E-%E4%B8%96%E7%B4%80%E3%81%AE%E7%99%BA%E8%A6%8B%E3%81%8C%E5%8C%BB%E7%99%82%E3%82%92%E5%A4%89%E3%81%88%E3%82%8B-%E5%85%AB%E4%BB%A3%E5%98%89%E7%BE%8E/
というのを読んで買う気になった本です。でも、それほど暴走しているわけではないです。