k-takahashi's blog

個人雑記用

International Journal of Role-Playing

 5つの記事からなるようです。でも Oblivion が入っているのはなぜだろう

RPG批評本?「International Journal of Roleplaying」 - まりおんのらんだむと〜く+

で知りました。元ページはこちら

Editorial

The International Journal of Role-Playing is a response to a growing need for a place where the varied and wonderful fields of role-playing research and development, covering academia, the industry and the arts, can exchange knowledge and research, form networks and communicate.

 研究、産業、芸術といった範囲にわたる "role-playing"の研究と開発において、知識交換、研究、ネットワーク形成、交流などを可能にするんだそうです。


 記事は5本。全部読むのは大変なので、アブストラクトとコンクルージョンだけざっと読んでみました。
全部読むなら、1本目2本目かな。3,4本目は対象になっているゲームの情報が日本では掴みきれない(オブリビオン自体は移植されましたが)ですし、5本目はRPG以外の専門知識が要りそうな感じ。


Hitchens, Michael and Anders Drachen. The Many Faces of Role-Playing Games

 "role-playing game"の定義について。明確な定義はないものの、たいていの人はRPGと非RPGを識別できている。では、それは何なのか。
 「"they allow players, through their character to do whatever would be possible in the imaginary world of the game."(プレイヤーは想像世界において、キャラクターを通じて可能な限りなんでもすることができる)」というのが重要なのだそうです。当然、この点は、一般論としての「ゲームとは」の議論や定義と相性が悪く、などという話も出てきています。目次を見ると、個々の要素の位置づけとかも書いてあるようです。
 そう言えば、Salen and Zimmermanの"A Rules of Play"が何度も記事中に出てきますが、和訳が出る出ると言われているのになかなか出ないですねえ。

Montola, Markus. The Invisible Rules of Role-Playing. The Social Framework of Role-Playing Process

 RPGには、大きく3つの要素 "An imaginary game world, a power structure and personified player characters"(ゲーム世界、構造(何ができて何ができないか、どのくらい難しいのかを示す方法)、キャラクター)が必ずあるが、それ以上の詳細について見ていこう、という論文。RPGは定量的ではなく定性的なものだ("a qualitative process rather than a quantitative one")という記述も。この論文も、RPGに現れる色々な要素をそれぞれ分析している論文のようです。
 結論部は、普通のゲームとは違っているという話がほとんどで、論文の内容は今ひとつ分からず。

Champion, Erik. Roles and Worlds in the Hybrid RPG Game of Oblivion

 仮想世界(Virtual World)とは何か。現象論、社会論、文化論の観点から仮想世界のフレームワークを考察する。そして、実例として"Oblivion"という一人用コンピュータRPGを分析し、社会的ではあるが文化的にはなっていないことを示す。
 具体的に何を持ってそういう結論を出しているのかは本文を読まないと駄目そうだが、文化的世界の実現に成功すれば、それは教育にも使えると書いてある。

Pittman, Jason and Christopher Paul. Seeking Fulfillment: Comparing Role-Play In Table-top Gaming and World of Warcraft

 "WoW(World of Warcraft)"というMMOのプレイヤーの嗜好を分析した結果の報告。
 MMOの場合、GMがいないので世界をすべて制御下にいれることはできないものの、WoWでロールプレイを楽しんでいる層もいる。時間的、空間的制約からTRPGを遊べない人が結構いて、彼らがWoWでロールプレイを楽しんでいるそうです。

Harviainen, J. Tuomas. A Hermeneutical Approach to Role-Playing Analysis

 これは、アブストラクトだけではよく分かりませんでした。テキストとしてとか、テキストの扱いがとかいう話なのですが、Hermeneutical(解釈学)というのがそもそもテキストを扱う方法論なので、そこが分からないとどこがRPGの話なのかちょっと分からない。
 全文を読めば分かるのかもしれませんが。