k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン2009年3月号

 特集は「雪と氷の科学」。ベントレーの写真集、中谷宇吉郎の紹介に始まり、宇宙の氷まで色々な話題を紹介している。
中谷の業績紹介では、実験器具やナカヤダイアグラムもきちんと紹介している。「雪は天から送られた手紙」という言葉も、結晶の成長過程がナカヤダイアグラムに従っていることから上空の温度と湿度を知ることができるからと、裏付けがきちんとあることも分かる。

 雪の結晶写真は平面的なものが多いが、実際には当然立体構造を持っている。通常は、写真を撮影の際のピント合わせの都合で、平面的に見えてしまう。本号では、ニュートンお得意のイラストで立体的な結晶を紹介してくれている。

 特集の後半は話が宇宙に飛ぶ。地球上の水分子の供給源は微惑星か彗星か論争(百武彗星の観測から、彗星内の重水素の比率が海水と異なることから、微惑星説が有力とのこと)とか、その彗星はよく「汚れた雪玉」と言われるが、その雪は「アモルファス氷」という分子レベルで水以外の成分が混ざった氷らしいとか、宇宙空間にある有機物はそのアモルファス氷上でできた可能性が高いとか。
 有機物がアモルファス氷上でできるという話は、氷の表面に原子が付着することで原子衝突の可能性を増し、それが有機物に繋がったという説。


 天文ネタでは、銀河進化シナリオの記事が面白かった。宇宙が若かったときにできた銀河は小型で、それが衝突・合体を繰り返して現在のような銀河に成長したという話(ボトムアップシナリオ、というらしい)なのだが、これを裏付ける観測結果が集まっているとのこと。ハッブルの写真で125億光年の銀河の大きさを測定とか、よくそんなことできるなと感心。
 衝突したあとには、ストリームという痕跡が残るそうです。アンドロメダ銀河のストリームの写真とか、なんと我々のいる天の川銀河のストリームも観測できている。不思議な写真である。